2010年07月15日

使える状態にして持ち主に返すのが国の責任

使える状態にして持ち主に返すのが国の責任 
(琉球新報7/14、記事全文はコチラ



使える状態にして持ち主に返すのが国の責任





      
基地跡利用新法 国の責任で実効性高めよ

  
県は在日米軍再編に伴う本島中南部の大規模な基地返還に備え、跡利用を円滑に進めるための恒久法制定を国に求める方針を固めた。

 最重要課題である予算措置などで国の責任を明確にしたのが特徴だ。自治体や地主の負担を軽くする実効性の高い新法制定を粘り強く折衝し、実現してもらいたい。

 沖縄は、日米安全保障体制の「要石」の役割を強いられ、基地の過重負担にあえいできた。返還跡利用においても国が主導する仕組みづくりは不可欠であり、当然のことだ。

 県の構想は、基本方針に跡利用に特化した別枠予算の確保や、返還後に地権者に支払われる給付金制度の見直しを明記した。

 新たな施策に、基地返還前の文化財・環境調査や浄化対策を義務付け、国の予算で規模の大きな公共用地を確保する行財政特別措置も検討されている。

 2012年3月の沖縄県米軍用地返還特別措置法(軍転法)の期限切れを見据え、恒久的な法制度を創設することを目指している。

 そもそも、基地返還が進んでいないにもかかわらず、跡利用対策の核となる軍転法が時限立法であること自体がおかしい。これまで沖縄側が延長を懇請し、責任を負うべき国側が要望に応える本末転倒の図式になっている。

 返還予定地は、嘉手納基地より南の6基地の1千ヘクタール規模。平たんで使い勝手の良い優良地ばかりだ。沖縄経済の浮揚を支える潜在力にあふれる一方、ベトナム戦争で使われた物資の修繕拠点となり、多くの環境汚染を引き起こした牧港補給地区などを抱える。

 返還前に環境汚染の有無を明確にすることは円滑な跡利用に欠かせない。米本国や欧州の大方の米軍基地は履歴データが残されている。いつ、どの建造物でどんな有害物資が使われていたのかが資料で把握できるようになっている。

 対照的に戦後65年間、酷使されてきた在沖基地の履歴はほぼ欠落している。返還後に有害物質が見つかり、跡利用が滞るケースが後を絶たないだけに、米軍の恣意(しい)的な判断によらない返還前調査の制度化が必要だ。


 気掛かりな点もある。混迷する普天間飛行場問題で、政府が県内移設受け入れの取引材料に位置付ける恐れがあるからだ。アメとムチの道具とされぬよう、県は細心の注意を払い、毅然(きぜん)とした態度で対政府折衝に臨んでほしい。  (琉球新報7/15社説



[軍用地跡利用] 国の責任もっと明確に
 
 県と関係市町村は、米軍用地の跡地利用に関する新たな法制度の制定に向け、「基本的考え」を了承した。

 駐留軍用地特別措置法(軍転特措法)と、大規模跡地利用に関する条文を盛り込んだ沖縄振興特別措置法(沖振法)は、いずれも2012年3月末に期限切れを迎える。返還軍用地の跡地利用を進めるためには、現行法制度の課題と問題点を踏まえた新たな法制度がどうしても必要である。

 どのような法制度が望ましいのか。なによりも大切なのは、国の責任を明確にすることだ。それが基本であり、出発点である。

 現行の沖振法は95条の「基本原則」の中で「国、沖縄県及び跡地関係市町村は、跡地の有効かつ適切な利用を促進するよう努めなければならない」とうたっている。国、県、市町村の責任を並列化した文言だ。この基本原則に基づいて96条に「国の責務」、97条に「地方公共団体の責務」を掲げ、それぞれの役割を明記している。

 「国の責務」として、必要な財政上の措置などを掲げてはいるものの、条文を読む限り、国の責任を明確にした法律とは言い難い。

 20日の会議で了承された「基本的考え」は、「基地跡地の適切な利用は、日米安保条約に基づく基地提供義務と対をなす国の責務である」と明確に指摘している。

 「跡地利用の推進は長年、基地を提供してきた国の責務として行われるべきである」との県の基本姿勢は、沖縄にとって譲れない一線である。

 米軍基地の返還はこれまで、那覇新都心がそうであったように、こまぎれ返還が多く、跡利用が完了するまでに相当の歳月を要した。

 恩納通信所やキャンプ桑江北側の軍用地は有害物質の処理に手間取り、跡利用が大幅に遅れた。

 埋蔵文化財調査や環境調査のための基地立ち入り、汚染土壌の原状回復措置の徹底、給付金制度の見直しは欠かせない。

 嘉手納基地よりも南に位置する六つの米軍基地の返還・跡利用は、「基本的考え」が指摘するように、「県土構造の再編にもつながる大きなインパクトをもっている」。沖縄の将来像を左右すると言ってもいいような、前例のない一大事業だ。

 はっきり言って県や市町村でできる代物ではない。国の責任で事業主体を確立し、国費で事業を実施する仕組みをつくる―そのための特別立法が必要だ。

 今後返還が予定されている基地の跡利用は、繰り返しになるが、21世紀沖縄の一大プロジェクトになるはずであり、その果実を享受するのは次の世代だ。

 次の世代にどのような沖縄を引き継ぐのか。県民の構想力も問われる。

 懸念されるのは、新たな法制度の制定が、普天間飛行場の辺野古移設と引き換えになるおそれがあることである。政府がそうやって地元を揺さぶるのは目に見えている。対抗の論理をどう築くかも大きな課題だ。(沖縄タイムス7/22社説



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Posted by ミチさん at 11:35│Comments(0)環境・自然
 
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