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2011年12月31日

2011年回顧(琉球新報)

琉球新報の今年最後の社説です
2011年回顧
 
命と絆の貴さを痛感
 
許せぬ暴言、暴走の横行

 激動の2011年が暮れようとしている。言うまでもなく、ことし最も衝撃を与えた出来事は3月11日の東日本大震災だった。死者・行方不明者が2万人近くに上り、今も大勢が避難生活を余儀なくされている。未曽有の災害は命の重さを痛感させた。同時に、助け合い、支え合う人々の姿から、人間本来の心の温かさも浮かび上がった。

 東京電力福島第1原子力発電所の深刻な放射能漏れは、「原発は絶対安全」と強弁し続けた政府や東電が大地震や大津波の可能性を無視したために起きた人災だ。国の欺瞞(ぎまん)が明らかになり、政府への不信感が強まった1年だった。

日米官僚の本音出る
 日本漢字能力検定協会が発表した11年の世相を表す「今年の漢字」は「絆」。大震災などを通して家族や仲間との絆の大切さがクローズアップされたことが主な理由だ。県内でも避難した被災者への支援の輪が広がった。

 10月には過去最多の県系人が集い第5回世界のウチナーンチュ大会が開かれた。互いの結び付きを再確認する好機となった。

 重い心臓の病を患った中学生・要美優(かなめみゆ)さんを支える運動が瞬く間に広がったことも忘れてはならない。短期間で寄付が集まり、4月に米国で心臓移植手術を受けた。元気で戻った美優さんの笑顔は県民を安堵(あんど)させた。

 政治に目を転じ、沖縄に対する日米両政府の対応を1文字で表せば「暴」という漢字が思い浮かぶ。

 鳩山由紀夫元首相は1~2月に、琉球新報などのインタビューに答え、米軍普天間飛行場の県外移設を断念する理由に挙げた在沖海兵隊の「抑止力」について「辺野古しか残らなくなったときに理屈付けしなければならず『抑止力』という言葉を使った。方便と言われれば方便だった」と明かしている。基地を沖縄に置くための根拠はこじつけの暴論だった。

 米国のケビン・メア国務省日本部長(当時)が、日本人は合意重視の和の文化を「ゆすりの手段に使う」「沖縄はごまかしの名人で怠惰」などと述べていたことが3月に明るみに出た。11月には、田中聡沖縄防衛局長(当時)が、「普天間」の辺野古移設に向けた環境影響評価書提出に関し「犯す前に犯しますよと言いますか」と性的暴行に例えた発言をした。2人とも暴言で更迭された。単なる舌禍ではない。安全保障政策に携わる日米高級官僚の本音がメア、田中両氏の口を借りて飛び出したと見ていい。共通しているのは徹頭徹尾、県民を蔑視する姿勢だ。

 中学校公民教科書の選定をめぐる八重山地区の教科書採択問題も政府が暴走を助長した感は否めない。地区ごとの同一教科書採択を義務付ける教科書無償措置法と各市町村教委による教科書採択を定めた地方教育行政法の矛盾を放置しているからだ。

偽りのない政治を
 沖縄防衛局は、県内移設に反対し座り込みをする人たちが手薄になったタイミングを狙って普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価書を28日未明、県庁に運び入れた。その手法は夜盗さながらだ。国民のために働く公僕の行為とは思えない。恥ずべき暴挙だ。

 農業団体などが強く反対する中、貿易やサービスの自由化を図る環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加を野田佳彦首相が表明したことも暴走以外の何物でもない。民主党は09年の衆院選で「消費税は現行税率を維持する」と主張したが、いつの間にか15年度までに10%に引き上げる方針を打ち出した。国民を裏切る公約違反であることは明らかだ。

 政治家と官僚が詐欺師に身を落とし、結託したのでは国の行く末は危うい。政治家、官僚は、正邪をわきまえて行動すべきだ。権力の乱用は許されない。

 国側の暴言、暴走が際だつ一方で、国民を勇気づけたのはサッカー女子ワールドカップ(W杯)で日本代表「なでしこジャパン」が初優勝したことだった。県内ではゴルフの比嘉真美子選手(本部高3年)が日本女子アマチュア選手権マッチプレーを制した。西江喜春さんの国指定重要無形文化財「組踊音楽歌三線」保持者=人間国宝=認定は大きな快挙だった。

 政治家や官僚は、芸術家のように人々の心を豊かにする手腕、スポーツ選手のように正々堂々と課題に向き合う胆力を身に付けてほしい。来年を、うそ、偽りのない政治に踏み出す元年としたい。
(琉球新報12/31社説、記事原文はコチラ




琉球新報、沖縄タイムスが選んだ 2011年県内十大ニュース はこちら下
http://michisan2.ti-da.net/e3857195.html
  


Posted by ミチさん at 22:55Comments(0)大丈夫か この国

2011年12月31日

防衛官僚の筋書きはこうだ

今年最後の「佐藤優のウチナー評論」です
 
普天間固定の布石

 2011年は、沖縄の力を内外に目に見える形で示すことができた画期的な年と思う。沖縄にとって死活的に重要な事柄を、沖縄人の意思に反して強行することはできないという現実を東京の中央政府も米国政府も深く認識した。3月には、沖縄に対する差別的、侮蔑的発言を行った米国務省のケビン・メア日本部長(当時)が更迭された。11月には、米海兵隊普天間飛行場移設に関する環境影響評価(アセスメント)の評価書の提出時期に関して、「これから犯す前に『犯しますよ』と言いますか」と性的暴行に例える暴言を吐いた田中聡防衛局長が更迭された。さらに一川保夫防衛相は、自衛隊法に基づき田中氏を40日の停職、中江公人防衛事務次官を減給とする処分を行った。霞が関(官界)の常識からすれば、これは想定外の処分だ。数年前と比較して、沖縄の政治力が強くなっている。米国政府も日本政府も、沖縄の力を恐れている。それだから問題発言を行った官僚を守ることができなかったのである。

 ところで、太平洋戦争のガダルカナル戦で「「鼠(ネズミ)輸送」」と呼ばれる作戦があった。制空権を奪われた日本軍は、通常の輸送船での人員・物資の補給ができなくなったので、高速の駆逐艦で夜の闇にまぎれて輸送を行った。駆逐艦では少量の輸送しかできない。夜になると動き出すネズミのようなので「「鼠輸送」」と揶揄されるようになった。

 28日未明、沖縄防衛局の真部朗局長等がアセスメントの評価書を県庁の守衛室に運び込んだのは、21世紀の「鼠輸送」である。このような作戦で、勝利することはできない。しかし、防衛官僚は無駄な努力をしているのではない。この先のシナリオを考えて、沖縄防衛局は恥をかきながら今回はみじめな「鼠輸送」を行ったのだ。

 筆者は元外務官僚だったので、普天間問題に従事する官僚たちの発想はだいたいわかる。田中聡氏の暴言で、辺野古移設が決定的に不可能になったことを外務官僚、防衛官僚は、十分に認識している。そして、日本政府がいずれかのタイミングで米国政府に「沖縄の状況に鑑み、辺野古移設は不可能になりました」と伝えることになるということも織り込んでいる。その上で、普天間基地の固定化というシナリオに落ち着かせようと考えている。

「われわれは普天間飛行場の辺野古移設によって、沖縄の負担を客観的に軽減しようと全力を尽くしましたが、沖縄が感情的になって拒否しました。それだから普天間の固定化になってしまいました」と釈明すれば、事態を処理することができるというのが官僚の発想だ。こうして外務官僚、防衛官僚は沖縄に対する構造的差別を固定化しようとする。沖縄に対する構造的差別の脱構築という視座を東京の政治エリート(国会議員、官僚)に持たせることが筆者にとっての2012年の最大の課題になる。(作家・元外務省主任分析官)
(琉球新報12/31)
 
  


Posted by ミチさん at 22:30Comments(0)辺野古新基地建設

2011年12月29日

県民も知事も 本気度 問われています


(琉球新報12/29、記事原文はコチラ




(沖縄タイムス12/29、記事原文はコチラ




(沖縄タイムス12/29)

沖縄タイムス12/29 冷ややか米政府 住民感情を懸念
沖縄タイムス12/29 「意義深い進展」アセス提出で米国防総省
沖縄タイムス12/29 知事「県外で対応」市民団体に明言



(沖縄タイムス12/29)

沖縄タイムス12/29 「闇討ち」提出に市民ら激しい怒り
沖縄タイムス12/29 防衛局の「闇討ち」過去にも



(琉球新報12/29)

琉球新報12/29 評価書未明搬入 20人、5分で16個 警戒の市民悔し涙
琉球新報12/29 知事、抗議の市民と対話 「県外」約束に拍手も 



(琉球新報12/29)

琉球新報12/29 辺野古評価書提出 知事「県外」一層固く
琉球新報12/29 辺野古評価書提出 名護市長「あきれてもの言えない」

琉球新報12/29社説はコチラ下
辺野古アセス 無理なものは無理だ

 この暴挙は歴史の汚点として長く刻まれるだろう。

 沖縄防衛局は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価書の一部を県庁に置いていった。人々が寝静まる午前4時すぎに守衛室に運び込む行為は「提出」と表現するには程遠い。

 「妨害行為があったため、やむを得なかった」との一川保夫防衛相発言は筋違いも甚だしい。

 県議会は評価書の提出自体を断念するよう求める意見書案を全会一致で可決している。議会の総意を無視して評価書提出を強引に実行しようとしたからこそ混乱が起きた。政府のやり方を棚に上げて、県民のせいにするとは見識が問われよう。

 「提出」の仕方が強引だっただけでなく、評価書の内容も環境アセスメント手続きを逸脱している。

 評価対象の航空機の一部を垂直離着陸輸送機MV22オスプレイに変更した。防衛省は方法書や準備書の段階で明記してこなかった。明らかに後出しだ。

 専門家が指摘するように、環境影響評価法第28条は基本的に後出しを認めていない。同法施行令第9条は、環境に相当程度の影響を及ぼす「特別の事情」がある場合は、アセスをやり直さなければならないと定めている。

 オスプレイは騒音が空中停止時には現有ヘリを上回り、高温の排ガスによる離陸時の火災の懸念も浮上している。「特別の事情」に当たるのは当然ではないか。

 評価書は、オスプレイ配備により新たな飛行経路を設定したが、周辺集落での騒音は環境基準を超えないと予測した。絶滅危惧種ジュゴンの生息に関し「直接的な影響はない」と判断した。初めから結論ありきの評価書ではないか。

 米民主党の重鎮バーニー・フランク下院議員は「民主党政権が誕生して以降、(海兵隊のプレゼンス=存在は)日本の政治を混乱させている」と指摘、海兵隊撤退を主張している。

 米国内に日米合意は非現実的という空気が広がり、潮目は変わった。日本政府はなぜ現状を直視しないのか。

 仲井真弘多知事は評価書を受理する方針だが、埋め立て不承認の意向を示している。県内移設は無理だ。今回の評価書提出劇は、普天間問題が前進しているように見せる演出効果すらなく、混迷の度を深めただけだ。根本解決は日米合意の見直ししかない。



沖縄タイムス12/29社説はコチラ下
[評価書未明搬入]姑息なあまりに姑息な

 異常と言わざるを得ない。民主国家を名乗る国のやることなのだろうか。あまりに姑息(こそく)としか言いようがない。

 沖縄防衛局は米軍普天間飛行場の辺野古移設を進める手続きで、環境影響評価(アセスメント)の最終段階となる評価書をあろうことか、午前4時すぎに県庁の守衛室に運び込んだ。阻止行動を続けている市民団体のいない時間帯を見計らい、仕事納めの日、しかも夜明け前に搬入するのは、常軌を逸している。

 前日には配送業者に届けさせようとしたが、市民団体に押し戻されている。事業者の代わりに配送業者に運ばせるというのも前代未聞だ。

 未明搬入といい、配送といい、だまし討ちのようなものだ。政府は評価書の提出について正当性がないことを自ら暴露している。

 政府が政策を実現するためには、賛成、反対があったとしても、政策の妥当性だけでなく、倫理性が求められ、それに応える姿勢が最低限なければならない。政府はそれらをすべてかなぐり捨てている。事業を進める正当性はもはや喪失したのも同然だ。

 辺野古移設計画を認める材料は、県内に一片もない。政府が米国の顔色ばかりをうかがうことをやめ、辺野古移設計画がすでに破綻していることを認識するのであれば、そもそも評価書の提出はあり得ないはずである。

 未明搬入は、政府が無理に無理を重ねていることを示している。本来ならば、政府は米国との仕切り直しに全力を挙げるべきなのだ。

 環境アセスは事業実施に先立って自然や生活環境に及ぼす影響を予測し、影響を緩和する手段である。住民との対話が必須条件となる。

 沖縄防衛局は説明責任を果たさなければならず、そのためには情報公開が必要になるが、決定的に欠けていた。

 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ配備を隠したまま後出しじゃんけんのように情報を出し、評価書の段階で初めて盛り込んだ。県民の意見表明の機会が奪われた。情報公開にもとり、環境への配慮によって国民の健康で文化的な生活を確保するとした環境アセスの精神を踏みにじっている。日本自然保護協会が抗議したのは当然である。

 評価書は「直接的な影響はない」などのオンパレードである。絶滅危惧種ジュゴンに関し、同協会は科学的論理が飛躍し決して認められないと批判している。結論に合わせる「アワセメント」なのだ。

 県は受理する方針を決めた。仲井真弘多知事は行政上の事務手続きとの立場だが、政府には辺野古移設に向けたワンステップである。

 仲井真知事は27日の報道各社とのインタビューで、評価書を受理しても埋め立てを承認することにはならない、と発言。「県外移設」の公約を貫く考えを示した。公約が揺るがないのであれば、行政的にはどうであれ、「異常搬入」に対して、毅然(きぜん)とした態度を示すべきだった。

 異常搬入は日本の環境アセスに悪い前例を残す。だが、評価書提出が「蟻(あり)の一穴」になることは民意が許さない。



1/3追記
沖縄タイムス1/3 「評価書」年明けも警戒 県庁で年越し

琉球新報1/3 評価書追加搬入 広がる監視行動 ネット通じ若者も参加


1/4追記
琉球朝日放送のニュース映像(動画)
2012.01.04 環境アセス 「評価書」県が一部受理へ
2012.01.04 「評価書」の箱を開封

琉球新報1/4 辺野古アセス評価書 県、文書確認作業に入る

沖縄タイムス1/4 評価書追加搬入を警戒 続く座り込み
  


Posted by ミチさん at 20:45Comments(0)辺野古新基地建設

2011年12月28日

防衛局長 陣頭指揮 評価書、午前4時に守衛室に運び込まれる

琉球新報Web12/28 【動画】辺野古アセス評価書、未明に搬入 県「手続き完了していない」


(沖縄タイムス12/28号外、記事原文はコチラ


琉球朝日放送のニュース映像(動画)
2011.12.28 環境評価書の入った箱 未明に県庁に運び込む
2011.12.28 環境影響評価書 沖縄県受理を決定

沖縄タイムス12/28 県、アセス評価書受理へ

琉球新報12/28 沖縄県、アセス受理の方針 防衛省に伝達 普天間移設問題



(琉球新報12/28、記事原文はコチラ




(沖縄タイムス12/28、記事原文はコチラ



 
(琉球新報12/28)



 (沖縄タイムス12/28、記事原文はコチラコチラ


沖縄タイムス12/28 阻止行動ドキュメント

目取真俊ブログ12/27 「環境影響評価書提出阻止行動 27日の様子」が詳しく現地リポート



琉球新報12/28社説はコチラ下
アセス評価書送付 歴史的・国家的な暴挙だ
 
 この国の民主主義と県民の基本的人権をないがしろにする権力の暴走は、断じて許されない。

 防衛省は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の評価書の県への提出手続きを、手渡しではなく宅配で「送付」した。

 国会議員や県議らも加わり阻止行動が展開されたが、政府はこうした動きを待つまでもなく提出を断念すべきだった。野田政権は、移設計画強行が「歴史的暴挙」であると自覚すべきだ。

 繰り返し指摘したが、知事選や県議選、名護市長選、国政選挙などを通じ大多数の民意が辺野古移設を拒絶、普天間の県外・国外移設、撤去を求めた。県内41の全首長も辺野古移設に反対している。

 野田佳彦首相に問いたい。自らの地元・千葉県でこれだけ広範な世論と首長が反対する事案を強行できるか。地元でできないことを県民に強要するのなら、それは沖縄差別にほかならない。

 移設先がどこであれ日米同盟を優先し、住民犠牲はやむを得ないとするのなら、それは民主国家の体を成さない。本質において軍事独裁国家と変わらない。

 米議会の有力議員やジョセフ・ナイ元米国防次官補ら安全保障専門家も辺野古移設を非現実視する。日米合意を取り巻く環境の激変を日米両政府は正視すべきだ。

 防衛省の評価書は約7千ページに及ぶという。知事はアセス法にのっとり90日以内に評価書への意見書を出すよう求められるが、実現不可能な合意の「進展」を装い、手続きを続けるのは茶番劇だ。

 在日米軍専用施設の74%が沖縄に集中する。県民は戦後66年間、米軍絡みの事件・事故、戦闘機の爆音、米兵犯罪などで基本的人権や平穏な生活を脅かされてきた。

 野田首相は安保問題の本質を直視すべきだ。基地自由使用を優先する日米両政府とこれを拒絶する県民との構造的対立の連続。日米は反基地感情が沸騰するたびに米軍基地の縮小・撤去や兵力削減、日米地位協定改定など根本的な改善へ向かうのではなく、基地問題を振興策にすり替える「アメとムチ」政策で県民世論を分断し、翻弄(ほんろう)し続けた。結果、民主主義をゆがめる日米同盟の醜悪な姿が残った。

 野田首相は政治生命を賭して決断すべきだ。民主主義を壊すのか、日米合意に終止符を打つのか。




  


Posted by ミチさん at 22:51Comments(0)辺野古新基地建設

2011年12月27日

評価書の搬入を市民らが阻止

(沖縄タイムス12/27、記事原文はコチラ




(沖縄タイムス12/27、記事原文はコチラコチラコチラ




(琉球新報12/27、記事原文はコチラ



琉球新報Web12/27 アセス評価書積んだ車両引き返す 市民らが阻止

沖縄タイムスWeb12/27,13:19 評価書の搬入を阻止 宅配車引き返す


琉球朝日放送のニュース映像(動画)
2011.12.27 市民団体などが抗議行動 評価書県に届かず
2011.12.27 中継 評価書提出に市民抗議


琉球新報12/27 「容認」報道に県困惑 全国紙、地域で表現使い分けも
琉球新報12/27 評価書提出 「辺野古無理」の印象回避 防衛省「堂々」演出も頓挫


沖縄タイムス12/27社説はコチラ下
[アセス評価書提出]民意を無視した暴挙だ

 なぜ、辺野古でなければならないのか。なぜ、新たな選択肢を探ることなく手続きを急ぐのか。なぜ、県内移設に反対する県民の声を無視して強行するのか。

 前沖縄防衛局長が、県民を侮辱し、女性を誹謗(ひぼう)する発言をして更迭されたことは記憶に新しい。繰り返された閣僚の謝罪は何だったのか。

 一川保夫防衛相は参院で「不適格性」が指摘され、問責決議が可決された身だ。そんな大臣が居座る防衛省が、評価書を送る資格があるのか。

 重要な文書にもかかわらず、約7千ページに及ぶ評価書の提出は、手渡しではなく郵送だった。混乱を避けるためだというが、住民の声を聞こうともせず姑息(こそく)ではないか。

 防衛省は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向け、環境影響評価(アセスメント)の評価書を県に発送した。進展を求める米国側の意向に応じたものだが、県民の声を無視した強権的な行為だ。野田政権は、いったいどこを向いているのか。

 防衛省は2007年にアセスの手続きを始めたが、鳩山政権の移設先見直し作業に伴い、最終段階の評価書作成を中断していた。ことし6月に日米政府で辺野古移設を再確認し、作業は再開された。

 ただ、同アセスをめぐっては、沖縄へ配備予定の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイに関する記述がないなど、ずさんさが指摘されている。

 アセスそのものへの信頼を揺るがし、日本のアセス史上に汚点を残した。

 評価書が提出されると、県知事は90日以内に意見書を提出する。国側は意見書を基に必要に応じて評価書を修正し、アセスの手続きは完了となる。

 防衛省は来年6月ごろには、埋め立て許可を知事に申請する、とのスケジュールを描いているようだ。果たしてこのまま押し通せると考えているのだろうか。

 埋め立て許可の権限を持つ仲井真弘多知事は、県外移設を主張している。知事が許可しない場合、強制代執行や特別措置法制定などの強権を発動するつもりなのか。

 県議会は11月、県民の生命・財産・生活環境を守る立場から、評価書の提出断念を求める意見書を可決した。

 米国の意向をひたすらうかがい、「普天間の固定化」を引き合いに、辺野古受け入れを甘受せよ、というのであれば、民主主義を売り渡したことにほかならない。

 気になるのは、仲井真知事の曖昧な態度だ。

 「行政手続きで、法令にのっとって対応する以外にない」と述べ、評価書受け取りは拒めないとの認識を示している。辺野古受け入れもやむなし、との誤ったメッセージを送ることにならないか。

 12年度の沖縄振興予算は、厳しい財政事情にもかかわらず、県の要望に近い額となった。「普天間と予算は別」だと言ったところで、知事を懐柔するための「政治加算」であるのは明らかだ。

 なりふり構わず移設に突き進む政府に対しては、毅然(きぜん)とした態度を取ってもらいたい。
  


Posted by ミチさん at 20:16Comments(0)辺野古新基地建設

2011年12月27日

沖縄防衛局 環境影響評価書を県に郵送


(琉球新報12/26、記事原文はコチラ



琉球朝日放送のニュース映像(動画)
2011.12.26 沖縄防衛局 環境影響評価書を県に郵送
2011.12.26 環境影響評価書きょう提出へ 市民団体や住民が提出阻止行動 
2011.12.26 民主党県連 辺野古移設反対変わらない


沖縄タイムス12/26社説はコチラ下
[沖縄振興予算]密室で何を語ったのか

 政府の2012年度予算案が決まった。内閣府沖縄担当部局の沖縄振興予算は、数字の上では確かに「県の要望に近い形」(仲井真弘多知事)になったが、総額に気を取られ過ぎると大事な点を見失ってしまう。

 12年度沖縄振興予算の最大の特徴は、新しい仕組みがスタートする、その初年度の予算、という点だ。

 予算総額は2937億円で、前年度比27・6%も増えた。復興予算を最優先しなければならない厳しい財政事情の中で、概算要求額より500億円余も上積みが認められたということは、異例の措置といっていい。

 県は予算折衝で、3000億円の確保と、国直轄事業を含めた沖縄振興予算の全額一括交付金化を求めてきた。一括交付金は、従来のひも付き補助金に代わるもので、自治体が使い道を自由に決められるという大きな利点がある。

 総額2937億円のうち、一括交付金は1575億円。内訳はソフト事業に803億円、ハード事業に771億円が振り分けられる。

 人材育成や雇用対策、福祉などのソフト事業に一括交付金が使えるというのは、補助メニューにしばられ独自の施策を打ち出すことができなかった市町村にとって、大きな魅力だ。

 予算案には気になる部分も少なくない。

 一括交付金をどのように市町村に配分し、どのような事業に使っていくのか。そもそも、このご時世に政府はなぜ、沖縄振興予算を政治決断で大幅に増やしたのか。

 予算折衝の過程で仲井真知事は、藤村修官房長官や斎藤勁官房副長官と密室協議を重ねた。記者団を煙に巻いて、一体、何を話し合ったのか。

 概算要求は、内閣府沖縄担当部局が、個別の事業を基に、従来の積み上げ方式でまとめたものだ。政府はなぜ、何を根拠に、県の要望を受け入れ、500億円以上も増額したのか。

 政府が、米軍普天間飛行場の辺野古移設に対する仲井真知事の翻意・軟化を期待しているのは、言うまでもない。

 これに対し仲井真知事は、予算と普天間は関係ない、と言下に否定するが、ひも付き補助金の代わりに導入した一括交付金が実は「基地のひも付き」というのでは話にならない。

 要するに、あれこれ勘ぐられても仕方のないようなやり方なのだ。知事には、県民への丁寧な説明を求めたい。

 復帰40年に当たる12年度は、現行の沖縄振興特別措置法に代わる新たな法律がスタートする節目の年になる。

 新法に基づいて県が自前の振興計画を策定し、一括交付金を活用して振興策を進める。復帰後、初めてのことだ。

 使い道の自由度を高めるということは、逆に言えば、沖縄の「構想力」や、自立に向けた「実行力」が試されるということでもある。

 国の予算案を肉付けし、新しい革袋に新しい酒を盛るのは、県や市町村の仕事だ。スタートの年のその作業は、特に重要である。



辺野古浜通信12/26 核散希望:明日も止めます  


Posted by ミチさん at 00:05Comments(2)辺野古新基地建設

2011年12月25日

与那国配備へ10億円


(琉球新報12/25、記事原文はコチラ




(沖縄タイムス12/25、記事原文はコチラ



琉球朝日放送のニュース映像(動画)
2011.12.25 沖縄振興予算閣議決定 総額2937億円 一括交付金1575億円


琉球新報12/25社説 12年度予算案 沖縄振興の趣旨認識を 自由度広げたい一括交付金 



3/24追記

自衛隊誘致の推進派にとって住民投票は何としても避けたい 
住民投票を今やると負けると分かっているから
白黒はっきりしたら 打つ手がなくなるから…


 
(琉球新報3/24)
  


Posted by ミチさん at 23:59Comments(0)宮古・先島諸島

2011年12月24日

評価書提出は民主主義否定の暴挙

 沖縄防衛局は米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の評価書を週明けにも提出する。

民主主義否定の暴挙
 
桜井国俊・沖縄大教授・環境学

 環境影響評価(アセスメント)法は行政手続法であり、市民と対話しながら、地元も含めて大方の合意を得ている場合に実施するのが大前提だ。辺野古の地元、名護市をはじめ県内でも普天間基地移設反対は表明されており、総論賛成とは程遠い状況での評価書提出は、民主主義を否定する暴挙である。また県がこれを受け取ることは、法的に拒否できない事ではあるにせよ、民主的でない手続きを許容してしまうことになる。

 評価書にオスプレイが明記されるならば、だまし討ちである。方法書や準備書段階から縦覧への市民の意見として、既定路線と言われてきたオスプレイに関する記述がないことに繰り返し疑問が投げかけられてきている。「公式な配備計画がない」という言い逃れを経て今回オスプレイが明記されれば、環境保全の見地から市民が意見を言う権利は、もはや奪われてしまったのである。非民主的手続きの上塗りだ。

 アセス法の第28条では基本的に後出しを認めておらず、事業内容に修正のある場合は手続きをやり直さなくてはならない。それは「ダミー案を防止するため」と付記されている。しかしアセス法においても、各県のアセス条例においても、埋立地の飛行場事業の場合にやり直しが求められる修正内容は、埋め立て面積か、滑走路の一定規模以上の延長のみ。配備機種を変更しようが弾薬庫ができようが、やり直しは求められない。「後出しを認めない」という法の趣旨は、下位規定で骨抜きにされている。アセス法はザル法なのである。
 (琉球新報12/24、識者談話より)
 




(琉球新報12/24、記事原文はコチラ



12月21日、名護市労働福祉センターで「名護市民投票15年記念講演」が行われました。名護市民が米軍基地を持ってこようとする国に対して毅然と“NO”と意志表明をしたあの日から15年が経ったのです。「普天間基地と辺野古から沖縄と日本の平和を考える」と題して、前宜野湾市長の伊波洋一氏が講演されました。また記念講演会では、26日から県庁前で行われる環境影響評価書の提出を許さないとりくみへの参加が呼びかけられました。
記念講演会のようすは目取真俊ブログが詳しく報告してくれています。
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/632646938827fdccd3794b622f857a10


  


Posted by ミチさん at 22:30Comments(0)辺野古新基地建設

2011年12月23日

外交文書が明らかにする「沖縄返還」

 
日本側が希望していた4月1日ではなくどうして5月15日になったのか?
 

 1972年5月15日の沖縄の本土復帰の日が、県内の米軍施設内に配備されていた核兵器の撤去作業の都合で同日に決まっていたことが、22日に公表された日本の外交文書で分かった。今回開示された外交文書で分かったことはほかにもある。
 米軍施政権下の沖縄で、1年間の米軍人・軍属による犯罪発生件数は現在の14倍に当たる約1000件(その10分の1が凶悪犯罪=強盗、強姦、殺人、放火等)、その摘発率は3割にも満たなかったという。
 また沖縄返還をめぐる「財政密約」を裏付ける署名文書の存在を日本側が事実上認める資料が確認された。その背景として日中国交正常化以前の、1970年前後の韓国、台湾など近隣諸国と日本との関係を通して、緊迫した当時の東アジア情勢、そしてわが国の思惑がうかがえる。沖縄返還は果たしてだれのためのものだったのか。外交文書はまだすべてを明らかにはしていない。

米軍用地 自衛隊共同使用を構想
 
 本土復帰に伴う自衛隊の沖縄配備に関連し、当時の防衛庁が当初、米軍基地を日米地位協定に基づき共同使用する形で必要な施設や訓練場を確保する構想を持っていたことが、22日公開された日本の外交文書で確認された。

 1971年5月4日付「秘」文書で防衛庁のこうした基本姿勢が記載され、同月28日付「極秘」文書では同庁が、これを確認した上で、想定される共同使用施設としてブルービーチ訓練場(金武町)など12施設・8空水域を列挙していた。

 理由は明らかでないが、付属文書中には米軍那覇ホイール地区(現在那覇駐屯地)が返還されると同地区の一角を占める気象庁用地利用が難しくなりかねないので共同使用で確保する、との記述があり、共同訓練など日米連携のためより米軍を口実に用地取得を容易にする意図があったようだ。

 こうした共同使用が米側に実際に提起されたかなどその後の経緯は今回公開された文書には含まれていない。実際には共同使用は行われず、米軍が使用解除した一部用地を引き継ぐ形で自衛隊施設が確保された。(沖縄タイムス12/23)


 「沖縄への自衛隊配備」が当時から防衛庁(現在の防衛省)の既定路線であり、国策として現在に受け継がれていることは昨今の政府の動きを見ても明らかだろう。そこには「沖縄の民意」なんてものは屁のようなものなのだろうきっと。


 今回の開示された文書を詳細に見ていくと、外務省の、「文書公開への姿勢」そのものに疑念を持たざるを得ないことを指摘する識者も少なくない。

そのひとり 我部政明氏はこう語る
公開時に抜き取りか
 
我部政明・琉球大学国際沖縄研究所所長

 沖縄返還に伴う密約とは、大きく二つからなる。核に関すること。核兵器の所在については「否定も肯定もしない(NDNC)」政策にもかかわらず、施政権返還の1972年まで沖縄に米国の核兵器が配備・貯蔵されてきたことは当時から知られていた。ロジャーズ国務長官が、71年19月27日の上院外交委員会の聴聞会にて「沖縄返還後には核は撤去される」と述べ、返還時までは沖縄への核配備が続くと確認された。公開の聴聞会での発言は即座に報道され、米政府が沖縄への核配備を認めたときとなった。

 当時、外務省が米国議会での沖縄返還協定の批准審議に関心を寄せていたのは言うまでもない。公開された外務省の記録には、外交、軍事、予算などの上院や下院の各委員会が開催した聴聞会で、返還協定にかかわった米国務省や国防省、軍の責任者らの発言を聞きとって文字にして東京へ送られた公電が含まれている。核兵器について同国務長官は、先の公聴会で前日に「委員会理事会(公電では「秘密の聴聞会」と呼ぶ)の場では話す用意がある」の書簡を送ったと発言した。

 それに続く極秘の公電は、国務省のエリクソン日本部長から聞いたこととして、以下のように記す。核の撤去については「本件は、機密に属するので、外部に対しその内容を明かすわけにはいかない」と話した。その公電は、続く2頁目が抜け落ちている。いつの時点でその頁が抜き取られていたのかは分からない。もし、今回の公開に際して抜いたとすれば、外務省の文書公開そのものが疑わしくなる。 

 財政密約について、返還協定に明記されている3億2千万ドルの米側への支払額に、米国が負担すべき復元補償費400万ドルやVOAの国外移転費1億6千万ドルを盛り込んだことはよく知られている。これに加えて、69年11月に日本は米軍基地の施設改善のための財政負担を約束していた。返還協定とは別途に日本政府が「物品・役務」で支払うとした6500万ドルが、今回の公開文書に登場する。パリで米側との交渉を続けていた吉野文六アメリカ局長が本省に宛てた公電(71年6月9日付)は、エリクソン部長より6500万ドルを確認する概要書所にイニシャル署名が求められた、と伝える。返還協定調印日の6月17日までの間に、東京でスナイダー米公使と外務省ないし大蔵省の代表との間で、上記の二つの密約を記す文書が作成されたと推測される。

 今回の公開では、文書が新たなフォルダーに移し替えられたため、所管の担当課での保管の様子がうかがえ知れないようになった。しかも、フォルダーのタイトルを示す表紙や目次が公開されなくなったため、どのような文書が存在していたのか推測をも断ち切った。公開する側の都合のみが優先され、過去の教訓から学び、今後の日本外交を豊かにする気概が抜け落ちた公開となった。(琉球新報12/23、「識者評論」より)


 
(琉球新報12/23、記事原文はコチラ




(琉球新報12/23)




(沖縄タイムス12/23)



琉球新報12/23 復帰前 米犯罪年1000件 外務省文書公開

沖縄タイムス12/23 台湾有事「可能性低い」外交文書判明


沖縄返還密約がドラマになる

 TBSでは2012年1月期の日曜劇場で、山崎豊子原作「運命の人」を連続ドラマ化することが決定した。
 「運命の人」は2009年に発表された山崎豊子の最新作で、累計約130万部の大ヒット作となり、今回が待望の初映像化・ドラマ化となる。
 主役は本木正雅弘、その相手役が真木よう子というから楽しみだ。
 『運命の人』の舞台は、約40年前の事件を基にした物語。

理想と欲望がせめぎあう新聞業界において、映画のヒーローのようなエース新聞記者が、理想と信念で“沖縄返還"の裏側に潜む国家権力の欺瞞を暴く。しかしそのヒーローに待っていたものとは…。そして、“沖縄返還密約事件"と呼ばれる事件の真相とは--


 日曜劇場『運命の人』が放送となる2012年は沖縄返還40周年を迎える年でもある。

 作者・山崎豊子の思いでもある、沖縄で巻き起こったことに対する疑問と怒り、そしてそれが今なお現実のものとして大きな傷跡を残していることへの怒りと悲しみをドラマでも描いていく。

 多くの日本人が愛してやまない美しい観光地・沖縄--。しかし、だからこそ、その地で行われた悲劇や今も人々が抱え続けている苦しみを、同じ日本人として深く知るためにも、今こそ伝えるべき作品なのではないだろうか。

 現代の日本人の心を捉え、深い感動と何よりも“希望"を与えるべく、ドラマ『運命の人』がいよいよ始動する。

<原作・山崎豊子コメント>
 「運命の人」執筆の動機は、第四の権力・マスコミ、特に新聞の実態に迫りたかったからである。社会の木鐸として、その存在意義は大きいが、誰からも批判されないゆえに、時に傲慢でさえある新聞。だが、調べていくうちにその新聞社が抱え込んだあらゆる矛盾が、“沖縄返還密約事件"に集約されていることに気付いた。

 戦中戦後を通して、同じ日本国民でありながら、沖縄の人々がどれほど本土の犠牲になってきたか。未だに解決されない基地問題一つとっても、明白である。沖縄は過去から現在まで、日米関係に翻弄され続けてきた。

 小説では、1971年当初、沖縄返還交渉を取材していた一人の敏腕政治部記者が、日米間の密約文書の存在を知り、記事にし始めた時、国家権力の逆鱗にふれてしまう。その政治部記者の不屈の精神と強い生き様を、新聞社と沖縄を絡めて描いた。
単行本刊行と同時に、多くの媒体から映像化の申し込みがあったが、どこまで正面から映像化して戴けるか不安で、ご辞退を重ねて来た。そんな中、TBS側が一歩も引かず、お任せする決心をした。

 主人公役の新聞記者には、是非、本木雅弘さんをとお願いした。強靭さと悲劇性を併せ演じられる俳優さんだと、お見受けしたからだ。今は、初めての映像化作品となる「運命の人」が、視聴者の皆さんに共感され、感動して戴けるドラマになることを、切に願っている。(TBS Webサイトより



2014.3/7追記

(琉球新報2014.3/7)






  


Posted by ミチさん at 21:03Comments(0)沖縄返還密約

2011年12月22日

首相は「虚構」に幕引け

琉球新報の今日の社説は気合が入っています

いまがそういう時期だとわかっているのです

海兵隊と抑止力 首相は「虚構」に幕引け
乏し過ぎる沖縄駐留根拠


 在沖米海兵隊がなぜ駐留し、国際紛争の抑止力になっているか。防衛省があらためて県に回答した。

 だが、その内容は、沖縄に基地を押し付けるため、無理に無理を重ねた空虚な文言の繰り返しで、誠意のかけらすら感じられない。

 懸案である米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の理由を「総合判断の結果」と抽象的記述で逃げ、海兵隊が「抑止力」としてどんな役割を果たしているのか、具体像は全く見えてこない。

 沖縄に海兵隊を居座らせ、海を埋め立てて新たな航空基地を造る論拠の乏しさが一層鮮明だ。

県は毅然と再質問を
 最大の迷惑施設である基地は沖縄に置くしかないという「構造的差別」をまとった政治の営み以外に沖縄に海兵隊を置き続ける理由は見いだせない。防衛省の説明は、安全保障に関する官僚機構の無責任な思考停止の“結晶”以外の何物でもない。

 野田佳彦首相はこうした虚構の積み重ねに終止符を打つべきだ。

 今回の再回答は、年内にも予定している辺野古移設に向けた環境影響評価書の県への提出を前にした駆け込み的な地ならしにほかならない。辺野古移設を拒む沖縄の民意に背を向けたご都合主義は到底、県民の理解を得られまい。

 ことし5月、防衛省は、普天間飛行場の辺野古移設に回帰した理由を記した「在日米軍・海兵隊の意義及び役割」を県に示した。

 「穴だらけで、県民が納得いく説明と程遠い」と反発した県は6月初め、既成事実化させまいと質問状を突き付けていた。

 弁護士出身の与世田兼稔副知事が主導し、民事訴訟の準備書面による攻防を連想させる強硬姿勢に打って出た。

 論理的に沖縄への基地押し付けの矛盾を突く粘り腰の取り組みは、防衛省を半年間立ち往生させた。ようやく宿題に答えが出たが、その内容はあまりに薄っぺらで、現状を正当化するうわべの論理だ。県は毅(き)然(ぜん)と再質問し、政府を追及してもらいたい。

 政府が強調する沖縄の「地政学的優位性」に関する記述は、矛盾が端的に表れている。

 5月の冊子は「朝鮮半島や台湾海峡といった潜在的な紛争地域に迅速に到達可能」としていたが、今回は朝鮮半島に関し、「本州や九州に駐留した場合は、沖縄と比較し、確かに近くなる」に変えた。

 本土に駐留した方が朝鮮半島有事への備えは万全と認めている。

 台湾海峡での紛争を想定した質問には、「わが国周辺の紛争に対する米軍の対応を把握しているわけではない」と答えた。台湾海峡有事の米軍の動きさえつかめないまま、沖縄への駐留を説くことは無責任過ぎる。

 陸海空、海兵隊の4軍がいる沖縄から海兵隊だけを県外に移すことで、在沖米軍全体の機能にどう影響するかは示さず、「軍事的プレゼンスの重要な要素の一つ」と言い張るだけでは説得力はない。

米軍に白紙委任するな
 米国内では、議会有力者から辺野古移設を「幻想」とみなす悲観論が強まり、知日派の識者から在沖海兵隊のオーストラリア移転や米本国への撤収論が提起されている。さらに、中国のミサイルの射程外からの応戦を軸にした戦略(エアシーバトル構想)が台頭している。

 しかし、今回の回答は、こうした米国内の地殻変動に一文字も触れていない。防衛省OBで元内閣官房副長官補の柳沢協二氏が「防衛省に米国の戦略を理解できる人はいないのだろうか」と酷評したが、核心を突いている。

 防衛省は、普天間配備を強行しようとしている垂直離着陸機MV22オスプレイについても回答したが、騒音が空中停止時には現有ヘリを上回り、高温の排ガスによる離陸時の火災の懸念も浮上した。

 米軍から得た提供情報だけで作成された報告であり、世界一危険とされる普天間飛行場周辺の住宅密集地の地理や気候条件などを検証した形跡はない。付きまとう安全性への不安や騒音被害の抑制への具体策は「米国への申し入れ」にとどまる。情けない限りだ。

 これでは、飛行経路や騒音規制措置を順守できていない米軍に白紙委任状を与えた上で、配備を認めるようなものだ。周辺住民の強い不安に応えたとは言い難い。

 米軍の主張に唯々諾々と従う主体性の欠落は、抑止力とオスプレイ配備の二つの回答に通底する。
(琉球新報12/22社説、記事原文はコチラ




(琉球新報12/22、記事原文はコチラ



琉球朝日放送のニュース映像(動画)
2011.12.22 来年度沖縄振興予算 政府2900億円規模で調整
2011.12.22 評価書提出 阻止行動へ

琉球新報12/22 評価書提出「政府に屈しない」 県民会議が警戒行動
琉球新報12/22 〈沖縄振興予算〉透ける政府の思惑 大幅増、基地と引き換え

沖縄タイムス12/22 県民会議がアセス提出警戒行動へ  
沖縄タイムス12/22 超党派で提出反対決議 国会議員の基地懇


上のトップ紙面左の記事の詳細内容はコチラ
琉球朝日放送のニュース映像(動画)
2011.12.21 読谷・ひき逃げ事件 被告アメリカ兵 民事でも過失認定

【関連する日記アーカイブ】
2010.10.17 あの事件のその後 「読谷ひき逃げ死亡事件」判決
2009.12.16 もうすぐ四十九日忌 浮かばれぬ一つの命


12/23追記
沖縄タイムス12/23社説 [防衛省普天間回答]具体的な説明に欠ける

琉球新報12/23社説 基地と振興策 「リンク論」は時代錯誤だ  


Posted by ミチさん at 23:59Comments(0)辺野古新基地建設