2010年10月17日

あの事件のその後 「読谷ひき逃げ死亡事件」判決

名護議会の歴史的決議のニュースにかくれて小さな記事になっていましたが、これも報告しておかなければなりません。
あの事件のその後 「読谷ひき逃げ死亡事件」判決 
(琉球新報10/16、記事全文はコチラ



みなさんは覚えておられますか?
この時も大きなニュースの横に小さく載っていました(でも1面です)。

あの事件のその後 「読谷ひき逃げ死亡事件」判決 
(沖縄タイムス2009.11/9)


11/7早朝に読谷村内でウォーキングをしていた66歳の男性の遺体が道路わきで発見される。  その直後、近くの修理工場に被害者のDNAが付着した米兵の車が持ち込まれていたことから容疑者を特定。容疑者が基地内にいるため、警察や政府は取調べのため身柄引き渡しを要求した(時間が経てば体内の残るアルコール等が検出できない)。

あの事件のその後 「読谷ひき逃げ死亡事件」判決 
(沖縄タイムス2009.11/11、記事全文はコチラ



しかし容疑者が警察に逮捕されたのは事件発生から2ヶ月も経ってからのことでした。

あの事件のその後 「読谷ひき逃げ死亡事件」判決 
(琉球新報2010.1/9、記事全文はコチラ)


逮捕までどうしてこれほど時間がかかったのか?
容疑者が米兵であり、日米地位協定があったからです。
逮捕後、容疑者は黙秘を続けます。

日米地位協定17条6項(a)では「日本国の当局および合衆国の軍当局は、犯罪についてすべての必要な捜査の実施並びに証拠の収集および提出について、相互に援助しなければならない」と協力義務が明記されている。だが、今回の事件では盲点を突く形で前代未聞の出頭拒否が続いた。その結果、捜査は難航し、容疑者を特定したにもかかわらず事件から2カ月たってもひき逃げを立証できない「異常事態」(捜査関係者)に陥り、地位協定の重大な欠陥が浮き彫りになった。(琉球新報・松堂秀樹)


取り調べに対する両者の主張 
今回の事件で、ひき逃げ容疑の立件には2等軍曹の供述が鍵となるが、2等軍曹は取り調べの全面可視化(録音・録画)や弁護人(法務官)の立ち会いがない聴取には応じないとしている。これに対し県警は、法整備がないとして、可視化は認めず取り調べを進めている。
 逮捕後の取り調べは、受忍義務がある刑事訴訟法に基づいて2等軍曹の事情聴取が8日、始まったが、弁護人によると、2等軍曹は「(取調官には)弁護人の立ち会いがなければ供述拒否権を行使すると伝えた」と話すなど、黙秘を続けているという。
 可視化について、検察庁は冤罪(えんざい)や無罪判決などを受け2008年から試行を始めたが、対象は裁判員裁判に関する事件に限る上、全過程ではなく自白調書を読み聞かせる場面など一部にとどまっている。弁護人の立ち会いは認めていない。
 一方、アメリカは逮捕後の取り調べには判例法上、弁護人立ち会いが認められている。録音・録画も多くの州で認められ、イリノイ州では05年に可視化が法律で定められた。日米地位協定では録音・録画の規定はないが、法務官の立ち会いは容認されている。
 日米地位協定では、04年の運用改善の合意で「米軍人容疑者の起訴前身柄引き渡しを日本が求める場合、取り調べに米側捜査官の同席を認める」と合意した。ただ、今回のひき逃げ死亡事件は、米側が起訴前の引き渡しで好意的考慮を払うとした「凶悪犯罪」に該当しないと判断されたため、起訴後の引き渡しとなり、米側関係者(法務官)の立ち会いは認められない。
 2等軍曹は事件発生から4日後、任意の事情聴取に2日間応じたが、県警作文の供述調書に「ニュアンスが違う」と反発。それ以降の取り調べを拒否し、可視化や一問一答式での取り調べを要求。県警は可視化を認めず任意の出頭を要請していた。
 弁護人の高江洲歳満弁護士は「密室で取り調べを行う日本の捜査が問題だ。密室での取り調べは米国で『拷問の名残が残る歴史的遺物』ととらえられている。公正な取り調べのために、可視化や弁護士の立ち会いを進めるべきだ」と指摘している。(琉球新報・謝花史哲)



事件発生から約1年が経過した10/15、被告米兵に懲役2年8月(求刑は同4年)の実刑判決が下された。
無罪を主張する被告弁護側は判決を不服として即日控訴し、裁判は福岡高裁が引き継ぐことになる。

あの事件のその後 「読谷ひき逃げ死亡事件」判決 
(琉球新報10/16)



2012.05.26追記
あの事件のその後 「読谷ひき逃げ死亡事件」判決
(琉球新報5/25、記事原文はこちら



あの事件のその後 「読谷ひき逃げ死亡事件」判決 
(沖縄タイムス5/25、記事原文はこちら



6/16追記

あの事件のその後 「読谷ひき逃げ死亡事件」判決
(沖縄タイムス6/15)



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