2011年12月22日

首相は「虚構」に幕引け

琉球新報の今日の社説は気合が入っています

いまがそういう時期だとわかっているのです

海兵隊と抑止力 首相は「虚構」に幕引け
乏し過ぎる沖縄駐留根拠


 在沖米海兵隊がなぜ駐留し、国際紛争の抑止力になっているか。防衛省があらためて県に回答した。

 だが、その内容は、沖縄に基地を押し付けるため、無理に無理を重ねた空虚な文言の繰り返しで、誠意のかけらすら感じられない。

 懸案である米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の理由を「総合判断の結果」と抽象的記述で逃げ、海兵隊が「抑止力」としてどんな役割を果たしているのか、具体像は全く見えてこない。

 沖縄に海兵隊を居座らせ、海を埋め立てて新たな航空基地を造る論拠の乏しさが一層鮮明だ。

県は毅然と再質問を
 最大の迷惑施設である基地は沖縄に置くしかないという「構造的差別」をまとった政治の営み以外に沖縄に海兵隊を置き続ける理由は見いだせない。防衛省の説明は、安全保障に関する官僚機構の無責任な思考停止の“結晶”以外の何物でもない。

 野田佳彦首相はこうした虚構の積み重ねに終止符を打つべきだ。

 今回の再回答は、年内にも予定している辺野古移設に向けた環境影響評価書の県への提出を前にした駆け込み的な地ならしにほかならない。辺野古移設を拒む沖縄の民意に背を向けたご都合主義は到底、県民の理解を得られまい。

 ことし5月、防衛省は、普天間飛行場の辺野古移設に回帰した理由を記した「在日米軍・海兵隊の意義及び役割」を県に示した。

 「穴だらけで、県民が納得いく説明と程遠い」と反発した県は6月初め、既成事実化させまいと質問状を突き付けていた。

 弁護士出身の与世田兼稔副知事が主導し、民事訴訟の準備書面による攻防を連想させる強硬姿勢に打って出た。

 論理的に沖縄への基地押し付けの矛盾を突く粘り腰の取り組みは、防衛省を半年間立ち往生させた。ようやく宿題に答えが出たが、その内容はあまりに薄っぺらで、現状を正当化するうわべの論理だ。県は毅(き)然(ぜん)と再質問し、政府を追及してもらいたい。

 政府が強調する沖縄の「地政学的優位性」に関する記述は、矛盾が端的に表れている。

 5月の冊子は「朝鮮半島や台湾海峡といった潜在的な紛争地域に迅速に到達可能」としていたが、今回は朝鮮半島に関し、「本州や九州に駐留した場合は、沖縄と比較し、確かに近くなる」に変えた。

 本土に駐留した方が朝鮮半島有事への備えは万全と認めている。

 台湾海峡での紛争を想定した質問には、「わが国周辺の紛争に対する米軍の対応を把握しているわけではない」と答えた。台湾海峡有事の米軍の動きさえつかめないまま、沖縄への駐留を説くことは無責任過ぎる。

 陸海空、海兵隊の4軍がいる沖縄から海兵隊だけを県外に移すことで、在沖米軍全体の機能にどう影響するかは示さず、「軍事的プレゼンスの重要な要素の一つ」と言い張るだけでは説得力はない。

米軍に白紙委任するな
 米国内では、議会有力者から辺野古移設を「幻想」とみなす悲観論が強まり、知日派の識者から在沖海兵隊のオーストラリア移転や米本国への撤収論が提起されている。さらに、中国のミサイルの射程外からの応戦を軸にした戦略(エアシーバトル構想)が台頭している。

 しかし、今回の回答は、こうした米国内の地殻変動に一文字も触れていない。防衛省OBで元内閣官房副長官補の柳沢協二氏が「防衛省に米国の戦略を理解できる人はいないのだろうか」と酷評したが、核心を突いている。

 防衛省は、普天間配備を強行しようとしている垂直離着陸機MV22オスプレイについても回答したが、騒音が空中停止時には現有ヘリを上回り、高温の排ガスによる離陸時の火災の懸念も浮上した。

 米軍から得た提供情報だけで作成された報告であり、世界一危険とされる普天間飛行場周辺の住宅密集地の地理や気候条件などを検証した形跡はない。付きまとう安全性への不安や騒音被害の抑制への具体策は「米国への申し入れ」にとどまる。情けない限りだ。

 これでは、飛行経路や騒音規制措置を順守できていない米軍に白紙委任状を与えた上で、配備を認めるようなものだ。周辺住民の強い不安に応えたとは言い難い。

 米軍の主張に唯々諾々と従う主体性の欠落は、抑止力とオスプレイ配備の二つの回答に通底する。
(琉球新報12/22社説、記事原文はコチラ



首相は「虚構」に幕引け
(琉球新報12/22、記事原文はコチラ



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12/23追記
沖縄タイムス12/23社説 [防衛省普天間回答]具体的な説明に欠ける

琉球新報12/23社説 基地と振興策 「リンク論」は時代錯誤だ



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Posted by ミチさん at 23:59│Comments(0)辺野古新基地建設
 
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