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Posted by TI-DA at

2009年08月20日

アセス手続きの不備を訴える全国初の訴訟

「違法」と344人提訴 普天間アセスやり直し訴訟


 米軍普天間飛行場代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)手続きに不備があるとして、県内外の344人が19日午後、国に対し方法書や準備書作成のやり直しと国家賠償として慰謝料1人につき1万円の支払いを求める訴訟を那覇地裁に起こした。進行中のアセスメント手続きそのものの不備を訴える訴訟は全国で初めて

 環境アセス法は事業者の手続き法で行為を差し止めることなどは想定されていないため、原告側は行政事件訴訟法に基づき事業者の沖縄防衛局にアセス手続きを見直す義務があることを訴える。

◆アセス法の目的明らかに 
米軍普天間飛行場代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)の方法書や準備書のやり直しを求め市民らが提訴したのは、県環境影響評価審査会や環境学、アセス法の専門家から問題点を指摘されながらも見直されることなく進む今回の環境アセス手続きが適正なのかを司法の場で明らかにするためだ。

 アセス法は環境保全のため事業者に対し、事業による環境への影響を評価するよう定め、その方法書や準備書の作成を義務付けている。

 しかし、日本のアセス法は事業者が事業を行うための手続き法の一種で、法的に規制することや計画が環境に影響を及ぼすと予測されたときに、事業自体を撤回するというゼロオプションの規定がない。

 沖縄防衛局は手続きは法に基づいて適正に行われているとの見解だが、弁護団は「普天間アセスの手続きが認められることは日本のアセス法の形(けい)骸(がい)化を意味する」と訴訟の意義を強調する。専門家からアセス法自体の限界を指摘する声もある中で、今回の提訴で司法が形式論ではなく、アセス法の目的に照らし真正面から審議するか注目が集まる

原告団長・安次冨浩さんのはなし
 「方法書は資料追加や準備書でヘリパッ(の設置計画)を後出しされ、(アセスを)どこかで止めないといけない。全国から仲間が支援に立ち上がってくれた。絶対に負けられない」

弁護団長・三宅俊司弁護士のはなし
 「国は法律に違反して何が何でも辺野古に基地を建設しようとしている。違法な手続きをやっていることを裁判の中で明らかにしたい」

    ↑
(琉球新報8/20より)(太字等はブログ管理者の編集によるもの)


琉球新報8/20社説(太字等はブログ管理者の編集によるもの)
    ↓
普天間アセス 手続きの妥当性示す訴訟に


 米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)手続きで方法書や準備書作成をやり直すよう求める行政訴訟が那覇地裁に提訴された。アセス手続きの不備を訴える全国初の訴訟だ。県民の意見が分かれる普天間代替施設の建設につながるものだけに訴訟の動向を注視したい。

 土地の形状の変更や工作物の新設などで環境にどう影響を与えることになるのか。その影響についてあらかじめ調査、予測、評価を行い、環境保全の観点でよりよい事業計画を作成するのが環境アセスだ。これを正しく進めなければ環境への負荷は大きく、わたしたちの暮らしにも影響を及ぼす。

 事業者である沖縄防衛局はアセス方法書作成前に事前調査を進めていたほか、方法書になかったヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設が準備書の段階で明らかになった。このような対応や変更がある中で、そのままアセス手続きを進めることは妥当なのか。
 環境影響評価法(アセス法)では、事項の修正には手続きを経ることを求めている。ただし、事業規模の縮小や軽微な修正などではやり直す必要性はないとしている。

 訴訟では、ヘリパッド建設の追加が軽微なのかという点も争いの要件となろう。

 原告は、ヘリパッド建設が追加修正されたため、それに対する意見を述べる機会を失ったとしている。後出し資料に対して、判断するための相当な準備も必要だ。

 原告は普天間飛行場移設に反対するヘリ基地反対協議会メンバーやアセス手続きを問題視するアセス法や環境問題に詳しい専門家ら344人。

 弁護団は、訴訟の目的として名護市辺野古への新たな基地建設阻止を挙げる。基地建設を前提とした違法なアセス手続きだと指摘する。アセスは、国民に対する処分行為ではなく、裁判で違法性が認められたとしても強制力はない。だが、国にアセスを適正に進める責任は問われてくる。

 基地建設阻止をにらんだ訴訟ではあるが、環境に配慮するためのアセス法の趣旨が適切に取り扱われているかどうかを判断するためにも重要な訴訟といえよう。

 アセス手続き中の不当性が裁判で争えるのか。初の訴訟に対する裁判所の適切な判断を求めたい。

  


Posted by ミチさん at 22:56Comments(0)反基地

2009年08月13日

ヘリ墜落から5年、政権交代で沖縄の空は変わるか?

沖縄のメディアは今年も大きく取り上げていました。
TV局はどこも地元の人にインタビュー。そこに登場する人はだれもが疲れてる。期待してもそのたびに裏切られ、もう期待する気にもならんという表情が読み取れる。

全国各地で豪雨や地震による停電や断水のニュースが大きく取り上げられる。ライフラインが止まるというのがどれほど大変かということは誰もが想像できるだろう。でも沖縄の人たちが暮らしている家のすぐ上を、耳をつんざく音を毎日何十回も聞かされる情況がどれほど過酷なものか、基地に関係なく暮らしているみなさんには想像できるだろうか。それがもう何十年も続いているのだ。

米軍基地は日本の安全保障のためにあると、両政府は言うし、多くの日本人もそう思っている。
でもそのために、誰かを犠牲にして自分たちの安全が保障されているとしたら、おかしいと、なぜ思わない。
なにもむずかしいことでない。子どもでもわかる、とても簡単なことなのに。


沖縄地元紙の今日の社説はともにこれでした

沖縄タイムス8/13社説より(太字等はブログ管理者の編集による)
http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-08-13-M_1-005-1_001.html

[ヘリ墜落5年] 危険の除去いまだ遠く  

 沖縄国際大学で起きた米軍ヘリ墜落事故はきょうで5年を迎える。昼夜の別なく学校や住宅街を襲う爆音、新たな墜落への恐怖、やり場のない市民の憤り―何も変わっていない。

 沖国大の富川盛武学長はきょう学内で「普天間基地を使用する航空機の飛行中止を求める集い」を開催する。米軍機の飛行が安全保障論でいかに正当化されようとも、教育・研究機関である大学の静寂を乱すことは許されない、と訴える。

 毎年この日に発表している声明の内容は大筋変わらない。米軍普天間飛行場に隣接する大学の現状は改善されていないからだ。政府がどのような方策を講じようと、身近で軍用ヘリが飛び交う重圧感からは解放されない。

 県や宜野湾市など沖縄側が求めた「原因究明とその公表」「再発防止策」について、県民はまだ納得のいく回答を得ていない。

 日米両政府は2007年8月、ヘリの飛行ルートを変更し、住宅密集地の上空通過を避けるよう申し合わせた。08年9月、ルートをはみ出して飛行している実態が宜野湾市の調査で明らかになった。事故を受けた両政府の対策は実効性がなかった。

 原因究明については、整備不良が原因だったとする当時の米側報告を信じるしかないのか。日本の航空機事故調査は行われず、県警は証拠物に触らせてもらえなかった。

 ヘリが直撃した大学本館を建て替えさせた事故は誰が責任を取ったのか。多くがあいまいなまま時が流れた。

 墜落直後に米海兵隊員が大学内になだれ込み、法的根拠もなく現場を包囲した異様な光景が思い出される。

 事故機は当時、戦闘が激化していたイラクへ派遣するため普天間飛行場で整備し、テスト飛行中だった。テレビで見る戦地イラクと沖国大周辺の景色がだぶった。

 そのイラクではバグダッドなど都市から米軍戦闘部隊が撤退した。米紙ワシントンポストは、イラク政府が米軍に市街地での活動制限を勧告したと報じた(7月18日)。

 記事によると、市街地での米軍による警備活動を中止することや物資輸送は夜間中に限るとの制約を設け、違反があればすみやかにイラク側へ報告するよう求めた。イラク治安部隊への訓練や地域復興に関与する米軍は安全確保の不安を訴えている。

 イラクの為政者は、米軍の市街地撤退を機に自国の主体性を国民に示したいとの思いを強めているという

 混乱が続くイラクでも外国軍の活動にはシビアに対応している。駐留を認めるにしても国内で政治問題とならないよう、その活動を必要最小限に抑制しようとする。主権にもかかわるからだ

 戦争終結から6年で米軍に活動規制をかけるイラク。かたや日本は戦後64年もたち、騒音防止協定や飛行ルートすらほごにされる。

 なぜ大学が「静寂・安寧」を求め声明を出し続けなければならないのか。為政者の責任であることはイラクとの対比でも明らかだ。


琉球新報8/13社説より(太字等はブログ管理者の編集による)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-148417-storytopic-178.html

ヘリ墜落5年 危険を放置して安保とは
 
 米海兵隊の大型輸送ヘリコプターが宜野湾市の普天間飛行場に隣接する沖縄国際大の構内に墜落して13日で丸5年になった。
 米軍基地の危険性が顕在化した重大な事故だったが、大学や住宅地の上空を米軍ヘリが飛び交う状況は今も変わらない。現状は不可解かつ理不尽と言うほかない。

 米軍機墜落の恐怖と激しい騒音を半世紀余りも放置したまま、平然と「安全保障」「平和と繁栄」を説く日米両国政府の姿勢は理解に苦しむ。

 日本の安全を維持するはずの日米安保体制が、現実には自国民を苦しめているという矛盾を、政府はどう説明するのだろうか。

 日米同盟の根幹とされる日米安全保障条約は、前文で「民主主義の諸原則、個人の自由と法の支配を擁護することを希望し(中略)すべての国民や政府とともに、平和のうちに生きようとする願望を再確認する」とうたっている。

 沖縄の現実はどうか。県のまとめだと、米軍機関連の事故は1972年の復帰以降、2008年末までに487件発生した。04年の沖国大の事故ではヘリがバランスを崩し、回転しながら降下。正門近くの校舎に接触した後、職員駐車場に墜落、炎上した。

 米軍人等による刑法犯罪は同期間で約5500件に上る。3割弱が凶悪犯または粗暴犯だ。少女が米兵3人に暴行された1995年の事件は、復帰後最大規模の県民総決起大会が開催されるに至り、怒りが渦巻いた。

 このほか戦車による老女圧殺事件、住民狙撃事件などが起きた。復帰前の米軍統治下では、小学校に戦闘機が墜落し、児童11人を含む17人が死亡する痛ましい事故もあった。一連の惨事から「民主主義の諸原則」は見えない。平和裏に生きる願いなど、絵空事にすぎないことを思い知らされる。

 政府は普天間飛行場について、飛行ルート変更など危険性除去の措置はすべて実施したと説明するが、まったく実感がない。
 仲井真県政の求める普天間の「3年内の閉鎖状態」も分かりにくい。撤去なのか、機能喪失なのか、機能低下なのか。はっきりしないと、政府に“手抜き”の口実を与えてしまう。

 住民の犠牲の上に成り立つ安全保障などあるまい。対症療法的ではなく、危険極まりない飛行場という“病根”を絶つか、県外に移す大手術こそが求められる。
  


2009年08月06日

「つくる会」教科書採択

 横浜市教育委員会は4日、2010年度から2年間、市立の中学などで使う教科書を選ぶ定例会を開き、市内18区のうち8区で「新しい歴史教科書をつくる会」(藤岡信勝会長)が主導した自由社(東京)発行の中学・歴史教科書を採択した。

 原則として文科省の検定に合格した教科書は、公立学校の場合、地教委が、私立学校の場合、各学校が自由に採択し、教育現場で使っていいことになっている。

 では、この教科書のどこが問題なのか。またそんな教科書をなぜ文科省は合格させたのか。


沖縄タイムス8/5が問題点を明らかにしていましたので記事を転載します(太字等はブログ管理者が編集しています)


「政治的意図感じる」
」 
つくる会教科書採択/教育関係者ら懸念

「集団自決」体験者も批判


 沖縄戦時、慶良間諸島で起きた「集団自決(強制集団死)」について日本軍の命令や強制に否定的な見解を示し、南京大虐殺などの記述を「自虐的」と主張する「新しい歴史教科書をつくる会」が執筆した中学・歴史教科書(自由社発行)を横浜市教育委員会が4日、採択したことに、「集団自決」体験者や教育関係者から批判と懸念の声が上がった。

 つくる会の教科書は沖縄戦について「(1945年)4月、アメリカ軍は沖縄本島に上陸し、ついに陸上の戦いも日本の国土に及んだ」と記述。教育関係団体などが、同年2月の硫黄島、3月26日からの慶良間諸島の戦闘を指摘し、「事実に反する」と批判していた。

 横浜市教育委員会の定例会を傍聴した琉球大学の高嶋伸欣名誉教授。訪れた約250人の市民の大半は会場に入れず、別室で音声だけを傍聴したという。高嶋名誉教授は、定例会では「教科書の実質的な教育効果や歴史的事実の内容について話し合われることはほとんどなかった」とし、「明らかに間違った記述のある教科書が採択されてしまった。歴史的事実を学ぶ『教育』とは別に、一定の思想を子どもたちに植え付けようという政治的な意図を感じる」と懸念した。

 「身を切る思いで証言した体験者の思いを踏みにじる悲しい判断だ」。座間味島の「集団自決」体験者の宮城恒彦さん(75)は、声を落とした。「わざと慶良間を除外し『集団自決』の事実を消そうとする教科書合格にした文科省、採用した教委の責任は重い。戦争美化の動きが社会全体にじわじわと広がっていることが怖い」と指摘。一方で、「県民の怒りの底流は続いており、全国的な理解も深まっている。今回の採択をしっかり問題視し、声を上げるべきだ」と訴えた。

 2007年9月の教科書検定意見撤回を求める県民大会で副実行委員長を務めた玉寄哲永さん。沖縄戦の実態は「集団自決」の悲劇を隠しては語れないとし、「戦争できる国にしたい権力者と特定の政治思想を持つ集団が一緒になって、子どもたちにうそを教えようとしているのではないか」と不信感をあらわにした。

 「集団自決」をめぐる教科書記述で、軍の強制性を明確にするよう求める要請書を先月末、教科書各社に送付した一人、教科書執筆者の石山久男さんは、「不正常な状況で審議されたとしか思えない」と批判。子どもと教科書全国ネット21は同日、採択の撤回を要求する談話を発表した。


県内採択なし

 市町村教育委員会などによると、県内は来年度も現行の教科書を使用する見込みで、自由社発行の歴史教科書の採択を検討している自治体はなかった。
  


Posted by ミチさん at 01:55Comments(0)ニュース・トピック

2009年08月05日

与那国を追いつめたのは 国だ

引き続き、日本の最西端、国境の町『与那国のいま』について

自衛隊誘致はいわば島にとって「わらをもすがる思い」の捨て身の選択だった。

選挙で一騎打ちをした候補者の外間氏と田里氏は今から4年前に、与那国町の将来構想である『与那国自立ビジョン』を作り上げた中心人物、言ってみれば同志のような間柄だ。

まあ見て欲しい、希望に燃えた二人の島のビジョンを
http://www.town.yonaguni.okinawa.jp/project/ziritsu.htm


ところがその前に立ちはだかったのは国の厚い壁だった






〔解説〕
政府は国境交流特区構想に「対応不可能」と回答した外間守吉町長は「(制度の)壁が厚く。高かった」と嘆じたが「与那国からの挑戦は続けたい」と、今後も特区構想を堅持する考えを示している。

特区を申請する過程で町は、台湾花蓮市との人的・物的交流促進が地域振興のカギであることを訴えてきた。町の担当者は「政府に国境地域の問題を扱う窓口がない。台湾は国として認められていないため、直接交渉のテーブルも作れない。日中関係の問題もある」と、特区実現を拒む根本的な課題を指摘した。

しかし、今回の特区申請がむだな努力だったわけではない。担当者は「特区申請で、与那国が強く求める同構想を社会に知らしめた。与那国町として台湾との共生を意思表明したことにより、台湾サイドの動きが出てきた」と話す。

外間町長によると、町の申請を機に台湾側から、リゾートホテル、ゴルフ場、野球のキャンプ場設置など、資本参入の申し入れが七件あったという。申請が認められなかった影響はありそうだが、「今後は台湾サイドの動きも盛り上げたい」と意気込む。

直接往来の実現に向けては今後、より規制の少ない貨物船での運航や、台湾資本の導入による新造船も視野に入れて取り組む。祖納港の開港については「外国船の入港実績を重ねることで実現につなげたい」という考えで、現状の打開に向けた努力は続く。

特区実現に向けた戦略の建て直しでは、県の役割も重要性を増しそうだ。担当者は「与那国町と台湾の自由往来ができれば、県経済への波及効果も大きい。特区構想は、八重山地域、県全体の振興につながることを認知してもらいたい」と強調。県や県議会などを巻き込んだ形でのテーブルづくりが求められる。                                                                  (八重山日報 2005年10月14日より)



地方の政治をつぶしてきたこれまでの日本の政治がいま問われているのだと思います。
どうしたら“国境の島”の自立・定住・保全が守られるのか、中央の論理ではなく地方の論理、地域の論理で私たちも考えてみないといけないと思う。

以下、八重山毎日8/4社説より転載(太字等はブログ管理者が編集しています)


「自立」へ町民の英知結集を
与那国町長選  外間丸、2期目もさらに難問山積


対立を超えて町民一丸
 任期満了に伴う与那国町長選は、2日投開票が行われ、自衛隊誘致を国に要請した現職の外間守吉氏(59)=自民、公明推薦=が、自衛隊誘致反対の元町役場職員で新人の田里千代基氏(51)に大差で勝ち、2期目の再選を果たした。町民は外間氏の過去4年間の実績と自衛隊誘致を評価、今後も町のかじ取りをゆだねる判断を示した。
 しかし、人口が1600人台に落ち込んだ町の「自立」への道はさらに険しく、2期目の“外間丸”の前途は決して容易でない。自衛隊誘致をめぐっては、今後も激しい綱引きが演じられるのは必至。加えて今月30日には政権選択の衆院選、来年9月には町議選が行われ、政治的に対立する状況が続く。

 選挙のしこり払拭(ふっしょく)はなかなか困難だが、こうした中でいかに対立を超えて町内の融和を図り、町の「自立」に町民の英知を結集できるか、これこそが外間氏の手腕といえるだろう。まず今回の選挙で掲げた公約実現に努めるとともに、町民の信任をバックに果敢に難題に挑み、2期目は自立へ大きく踏み出してほしい。

自衛隊誘致より観光客誘致 
 ただ自衛隊の誘致に関しては、町民の支持は得られたとはいえ、実際の誘致に対しては慎重であってほしい。
 それは外間氏ら誘致派が言うように自衛隊誘致でただちに町が活性化するとは思えないからだ。以前にも指摘したが、全国の市町村でそのような事例があるならぜひ町民に示すべきだ。

 確かに同問題は外間氏が言うように既にボールは国に投げられており、あとは国がどう判断するかだ。先の本土紙報道では、もし配備するにしても実戦部隊でなく、数十人規模の沿岸監視隊となるようだが、わずか2、30人でも誘致に値するものなのかどうか。またそれだけの規模で町の活性化は図れるものかどうかやはり疑問だ。

 同問題では町長選は自衛隊の是非だけで投票していないとして、住民投票を求める動きも出ているが、最終的な判断にはぜひ必要な選択肢だろう。

 この自衛隊誘致問題で浮き彫りになったように与那国町の現状は確かに深刻だ。人口は宿命的に毎年減り続け、財政も小泉政権での三位一体改革で町の自助努力だけではどうにもならないほど破たん状態に落ち込み、町の経済を支える公共工事も激減している。 このような中でいかに自立に向けて地域活性化を図るか。2期目の外間町政に課された難題だ。

どうなる自立ビジョン
 外間氏は、台湾との国境交流を柱とする自立ビジョンについて、見直しの必要性に言及していたが、外国との、しかも国と小さな町では壁も厚く、やはり実現可能なように見直しの必要はあろう。その上で目標に掲げる「国境離島振興法」(仮称)は県や本土の対馬など類似市町村と連携しぜひ実現に努めてほしい。

 外間氏は急逝した親友の尾辻吉兼前町長の後を引き継いだ1期目の当選の際、「2期目のことは考えず、民間手法を取り入れて行財政改革を断行。そして国の国境政策を引き出したい」と強く決意を語っていたが、このあたり自分自身の総括はどうだろうか。

 与那国の観光客は3万人余しかなく観光開発はまだまだ遅れている。若者を呼び戻して定着させる人口減対策や農漁業振興などの面から受け入れ態勢の整備は急務だ。田里氏のように10万人のでっかい目標を掲げるなど、自衛隊誘致よりまずは観光客誘致に力を入れるべきだ。  


Posted by ミチさん at 02:18Comments(0)ニュース・トピック

2009年08月03日

国境の島の選挙

いつもは無風の町長選挙がにわかに全国の耳目を集めた

与那国島のはなし

結果は103票差

でもそれが意味することは?



ちょっとおさらいしましょう

6月30日、外間守吉与那国町長、崎原孫吉同町議会議長らが上京。防衛省に浜田靖一防衛相、火箱芳文陸上幕僚長をそれぞれ訪ね、同町への陸上自衛隊の配置を求める要請書を手渡した。与那国町長が防衛相に対し、自衛隊誘致を要請するのは初めて。外間町長によると、浜田防衛相は要請の趣旨に理解を示し、与那国島への自衛隊配備に前向きな姿勢を示した。火箱陸幕長も「中期防衛力整備計画や防衛大綱の中に盛り込めるか作業を進めたい」と積極的に対応する姿勢を示した。

このニュースが公になるや否や、当の与那国島では、「寝耳に水だ」「住民投票で島民の意思を確かめよう」と住民のさまざまな意見が表面化。

地域の振興、活性化
いやそんなことでキナくさいもの持ち込むな!

どこかで聞いたことがあるような
沖縄ではどこにでもころがっていそうな話

そんなことがあって1ヶ月、
与那国島で次期町長を決める町長選挙があった。

自衛隊の誘致こそ島の活性化につながると自衛隊誘致を推進させようとする現職町長。
台湾との関係をそこなえばそれこそ島にとってマイナスと誘致に反対の立場で立った対立候補の一騎打ち。

そしてその結果は・・・


琉球新報8/3記事より(太字等はブログ管理者が編集しています)

外間氏が再選 与那国町長選 自衛隊誘致 「民意示された」


【記事全文】
 【与那国】任期満了に伴う与那国町長選挙が2日投開票され、外間守吉氏(59)=無所属、自民、公明推薦=が619票を獲得し、元町職員の新人・田里千代基氏(51)=無所属=に103票差で再選した。投票率は96・03%(前回97・14%)。

 同町長選は、人口減少が進む同町の地域活性化策として、自衛隊誘致の是非や台湾との国境交流の手法が主な争点だった。
 当日有権者は1208人(男605人、女603人)。

 外間守吉氏(ほかま・しゅきち) 1949年10月8日生まれ。同町祖納出身。沖縄国際大卒。「福山海運」元代表。78年から与那国町議4期。86年から町議会議長。2005年町長選初当選。

 外間守吉氏の話 今以上に与那国島が発展することを約束する。自衛隊誘致に民意は示されたが、住民説明会を開き、必要なら住民投票も行う。

▽与那国町長選開票結果
当 619 外間 守吉 無現
  516 田里千代基 無新
(選管最終)

◆経済活性化に期待感/「自衛隊」町民議論へ
 外間守吉氏の再選は、1期4年間の実績への評価と、自衛隊誘致を含めた経済活性化への期待感の表れだといえる。ただ、自衛隊誘致の直接的な是非については、外間氏が政策から外し、反対派の新人と論戦を交わす予定だった公開討論会も中止になるなど、議論が十分に深まらなかった。

 町長選は3月に外間氏が出馬表明した後、対立候補が出ず、無投票の可能性が強くなっていた。だが町長や町議会議長が6月30日に浜田靖一防衛相に自衛隊誘致を要請したことで一変。告示日19日前の7月9日、田里千代基氏が出馬を決めた。

 自衛隊誘致が最大の争点となるはずだったが、町内は地縁血縁が強く、町民の自衛隊誘致への意思は見えにくかった。

 自衛隊誘致について外間氏は当選直後、自衛隊配備に対する住民の意思確認について「説明会を開き、その上で必要なら住民投票も行う」と話しており、あらためて議論し、意思を示すことになる。(深沢友紀)


◆「住民の意見聞く」/自衛隊誘致 田里氏は反対継続
 【与那国】島に自衛隊は必要か、否か―。自衛隊誘致をめぐって島を二分した激しい選挙戦を制し、再選を決めた外間守吉さん(59)は「町民一人一人の気持ちがこの結果を生んだ。民意は示された」と表情を緩ませ、駆け付けた多くの支援者と喜びを分かち合った。

 一方、敗れた新人の田里千代基さん(51)は「残念な結果だった」と敗戦の弁を述べた。

 町長選は町への自衛隊配備を浜田靖一防衛相に要請した現職の外間さんと、反対を掲げて出馬した新人の田里さんの一騎打ちとなった。台湾の国境交流の手法でも対立し、約20日間の短期決戦は熱を帯びた。

 外間さんは当選後のあいさつで自衛隊誘致に触れず、取材陣に「自衛隊配備で具体的にどうなるか(国から)示された後、住民に対して説明する責任がある。住民の意見を聞きたい。状況を見ながら住民投票するか決めていきたい」と述べた。

 一方、与那国防衛協会の金城信浩会長(65)は「住民投票なしで自衛隊誘致への賛成が示された」と満面の笑みで語った。

 外間さんに投票した自営業の女性(51)は「今の人口では商売が成り立たないし、自衛隊が来れば医療が充実する。そうすれば(自分の)弟のように搬送遅れで半身不随になるようなこともない」と自衛隊配備への期待をにじませた。

 一方、田里さんは「選挙中は町づくり政策を中心に訴えてきた。日々支持が強くなっていると感じていただけに、残念な結果だった」と唇をかみしめた。争点となった自衛隊誘致の是非については「ほかにも争点があったので、町民が自衛隊誘致に賛成ということにはならない」と強調し、今後も反対活動を続ける意志を示した。  与那国島への自衛隊誘致に反対する住民の会共同代表の新崎長吉さん(67)は「外間陣営は争点をぼかし、誘致に賛成か反対かの投票ではなかった。みんなと話し合い、住民投票を求めるなどの活動を続けたい」と述べた。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-147931-storytopic-3.html





  


Posted by ミチさん at 18:08Comments(0)ニュース・トピック