2012年05月21日

プロバスケ・bjリーグ 琉球ゴールデンキングス 日本一

沖縄の地元紙の1面が、時折スポーツ紙かと思えるときがある。
県出身選手(チーム)が国内外で活躍した時だ。

甲子園の高校野球や女子プロゴルフ界の海外遠征組の活躍をはじめ、最近ではこのバスケットボールの国内リーグ(bjリーグ)の強豪「琉球ゴールデンキングス」もその一つだ。

沖縄にはプロ野球の球団はない。プロサッカーチーム・FC琉球はあるがまだJFL5位だ。
それだけに「琉球ゴールデンキングス」の地元サポータ(バスケットボールではそのコアファンを「ブースター」と呼ぶ)の熱狂ぶりはすさまじく、プレーオフ・ファイナル戦の東京・有明コロシアムには沖縄から大応援団が駆けつけた。

プロバスケ・bjリーグ 琉球ゴールデンキングス 日本一
(琉球新報5/21、記事原文はこちら



きのうの沖縄タイムス「大弦小弦」です

相互のリングをめぐるドラマが胸を熱くさせるのはなぜだろうか。リング―と言っても金環日食の輪=ゴールドリングではない。バスケットボールの話だ

 ▼専門書などによるとバスケは19世紀末、米の体育教師が、石を目標に投げ当てる子供の遊びをヒントに考案した。頭上のリングを狙い撃つ球技は新しい屋内ゲームを渇望する米で瞬く間に広がった

 ▼その後、留学生が母国で、兵士は第1次大戦の渡欧で広めた。今や世界のバスケは米文化流入の早かった沖縄でも底辺が広く盛んだ。かつてコザ中の全国Vや辺土名高校の活躍は県スポーツ史に輝く

 ▼国内バスケの「頂点」へbjリーグが佳境を迎えた。19日、西地区決勝で琉球ゴールデンキングスが京都を撃破。終盤2点差も執念で突き放した。茶の間のテレビ前でしびれたファンも多いだろう

 ▼キングスの魅力は速さとチーム一丸のプレー。そして選手を後押しし、バスケを知るファンの存在といえる。県内試合は常に満員。声援で輪となり絆となる一体感はウチナーそのものだ。模合やビーチパーティーの文化と重なる

 ▼かつてラリー・バードらNBA選手は宿敵に負けぬと絶えず練習したそうだ。さあ浜松との最終決戦。V奪還へ努力の花はきっと咲く。ゴールドのユニホームがリング下で最も輝くと期待しよう。(中島一人)
(沖縄タイムス5/20、記事原文はこちら



5/22追記
琉球新報5/22社説 キングス日本一 県民を元気づける快挙だ
 
下

キングス日本一 県民を元気づける快挙だ

 プロバスケットボールbjリーグ「2011―12シーズンプレーオフ ファイナルズ」のリーグ決勝で、西地区覇者・琉球ゴールデンキングスが東地区の浜松・東三河フェニックスを89―73で破り王座を奪還した。復帰40年の節目を飾る快挙を、熱烈なファン、県民とともに心から喜びたい。

 3季ぶり2度目となる日本一は、県内の青少年に計り知れない感動と勇気を与えたことだろう。県民を元気づける朗報でもある。激戦を勝ち抜いた選手・コーチの敢闘、努力を心からたたえたい。

 3連覇を目指す浜松との決勝はキングスが前半を9点リードで折り返したが、浜松も後半3点シュートなどで追い上げ、緊迫した展開だった。しかし、キングスは重圧をはね返し、積極的な攻守を貫いた。全員でボールに食らいついてチャンスを物にし、勝利をたぐり寄せた集中力は圧巻だった。

 08―09シーズン優勝は、その前年の西地区最下位という苦い経験をばねにしての勝利だった。今季は追われる立場になったキングスが原点に立ち返り、挑戦者としてシーズンに臨み栄冠をつかんだ。

 司令塔・並里成の縦横無尽の動きやマクヘンリーら海外補強組の得点力、チーム一丸となった攻守、ボールへの執念など、さまざまな勝因を挙げることができよう。

 特筆すべきは、この栄冠が就任4シーズン目の桶谷大ヘッドコーチと選手たちの信頼関係によるところが大きいという点だ。「コーチ陣が完璧なゲームプランで支えてくれた」との選手らの言葉が、チームの絆の強さを物語る。

 3年ぶりの王座について、桶谷コーチは「研究される中で一つずつ成長し、勝てたことに意義がある」と語った。この言葉は、チーム全員の実感でもあるだろう。

 甲子園における高校球児の活躍が東日本大震災の被災者にとっての大きな励みとなったように、スポーツの力は大きい。政治、経済、暮らしなどさまざまな局面で困難な課題を抱える沖縄社会にあって、キングスの優勝も、県民に「やればできる」との勇気を与える。

 これから夏場は、中高校の総体や夏の甲子園、プロ野球、ロンドン五輪などで、県出身選手の活躍に注目が集まる。多くのアスリートがキングスの不屈の精神に学んで力を発揮し、沖縄社会の活力源となることを期待したい。
(琉球新報5/22、記事原文はこちら


沖縄タイムス5/22「大弦小弦」
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 早朝、日食ガラスをかけ、東京の空を見上げた。21日午前7時半過ぎ、雲の切れ間から見えた太陽のリング。近所からは「見えた」「すごい」と歓声が上がった

▼沖縄で観測された1987年9月23日以来、25年ぶりに目の当たりにした金環日食。光の輪を王冠になぞらえると、琉球ゴールデンキングスが制したプロバスケットボールbjリーグ決勝の興奮がよみがえってきた

▼20日、東京・有明コロシアムであった決勝戦で、キングスは3連覇を狙う浜松・東三河フェニックスと対戦。闘志あふれるプレーで終盤に相手チームを突き放し、3季ぶりに王座を奪還した

▼激しい攻防の中でボールを追い、シュートを決める。体を張ってぶつかり合うプレーはコート上の格闘技のような迫力だ

▼浜松は昨シーズンの決勝で苦杯をなめた相手。選手たちは「昨年の悔しさをバネに厳しいシーズンを戦い抜いてきた」と思いを語った。チームを率いた桶谷大ヘッドコーチは「覚悟が相手を上回っていた」とチームの気迫を勝因に挙げた

▼キングスの躍進は、リーグナンバーワンといわれるブースター(ファン)を抜きに語れない。スタンドをチームカラーの金色で染め上げ、声援が選手を支える。プロバスケ日本一は、チームとブースターが一丸になって勝ち取った栄冠だ。(与那原良彦)  
(沖縄タイムス5/22、記事原文はこちら







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