2010年08月04日

普天間 鍵握る政治決戦

普天間 鍵握る政治決戦 
(琉球新報8/3、記事全文はコチラ



普天間 鍵握る政治決戦 
(琉球新報8/3)


     
県知事選 争点を明示して信を問え
 
 11月に実施される沖縄県知事選挙は、現職の仲井真弘多氏(70)と野党系新人の宜野湾市長・伊波洋一氏(58)による一騎打ちとなる公算が濃厚になってきた。誰が立候補するにせよ、県民・有権者に対し堂々と争点を明示して選挙戦に臨んでもらいたい。

 1972年に沖縄が日本に復帰してから11回目の知事選となる。この間、自民党など保守を中心とする勢力が擁立した候補が6回、社民、共産、社大など革新勢力が推す候補が4回当選している。

 普天間飛行場の辺野古崎地区への移設を盛り込んだ日米合意の撤回を求めるかどうかが今選挙戦の最大の争点となる。

 仲井真氏は6月定例県議会で「県内移設は不可能に近い。拒否の選択肢もある」と述べたものの、日米合意の見直しを要求するまでには至っていない。これに対し伊波氏は、移設先について仕切り直しをし米国と再交渉するよう政府に求める姿勢だ。

 基地問題では違いが鮮明だが、県政の課題は米軍基地だけではない。全国最悪の高失業率、全国最低水準の県民所得をどう改善するのか。経済・産業振興、医師不足の解消、子育て、環境保全、離島振興、財政健全化など、懸案は山積している。

 仲井真県政は2011年度末に期限切れを迎える沖縄振興特別措置法(沖振法)に代わって、新たに沖縄基本法(仮称)の制定を求め、県主導による「沖縄21世紀ビジョン基本計画」(仮称)を策定する方針を打ち出した。ポスト振計の対応も重要なテーマだ。

 社民党県連、共産党県委、社大党による候補者選考委員会は
(1)普天間飛行場移設の日米共同声明の撤回、在沖米海兵隊の撤退を政府に求める
(2)カジノ導入反対
(3)琉球諸島の「世界自然遺産」登録
(4)県立病院の独立行政法人化反対
(5)歴史教科書検定意見の撤回を求める―など5項目の基本政策に合意している。より具体的な政策を早期に県民に示してもらいたい。

 県政与党陣営に求めたいのは、仲井真氏が06年の知事選で打ち出した公約がどの程度実行できたのか綿密に検証し成果を公表することだ。日の目を見た政策も多いが、普天間飛行場を3年で閉鎖状態にすることなど、実現できなかった公約もある。4年間の点検・総括は不可欠だ。(琉球新報8/4社説


 
[県知事選] 普天間を正面から問え

 11月の県知事選に向け候補者の顔ぶれがそろそろ見えてきた。現時点では現職の仲井真弘多知事に宜野湾市長の伊波洋一氏が挑む選挙戦の公算が大きい。

 当たり前のことだが、候補者はあいまいな公約を排し、県民に選択の機会を与えてほしい。あえてそう書くのは沖縄政策をめぐる民主党の「豹変(ひょうへん)」が有権者の政治離れを加速させているためだ。

 参院選沖縄選挙区の投票率は過去最低で、全国でも最低だった。民主党は候補者を立てず、他候補は米軍普天間飛行場の県内移設反対を主張したため争点が消え、全体としてしらけたムードが漂ったことが、有権者の投票意欲を奪ったと考えられる。

 この沈滞した空気を知事選に持ち込むのだけはやめてもらいたい。候補者は争点を明らかにして有権者に信を問うべきだ。

 その意味で仲井真知事の態度は実にあいまいだ。先週末に来県した前原誠司沖縄担当相と会食し、名護市辺野古への移設を決めた日米合意の作業状況について説明を受けた。大臣によると、知事は黙って聞き、「具体的に決まることがあれば教えてもらいたい」と頼んだという。

 懇談後、仲井真知事は記者団に「本当にやりたいのなら、まず丁寧に説明して。実行計画を説明しないと何事も始まらない」と語った。

 ずっと受け身でいる知事の本音は何なのか。地元の稲嶺進名護市長が一貫して反対する傍らで閣僚と会談を重ねる。9月の同市議選に向けて反市長派の支援に回る。

 日米合意で辺野古移転が決まり、今月中に工法と滑走路位置が確定する。政府から「丁寧な説明」を聞いて知事はどう対処するつもりなのか、県民への説明が必要だ。

 稲嶺恵一前知事は「15年使用期限」を条件に辺野古移転を容認したが、米軍再編をきっかけに海兵隊撤退を主張した。大田昌秀元知事は「基地返還アクションプログラム」を作成し、段階的な基地返還を実現させながら最終的な基地全面返還を訴えた。

 仲井真県政にはこうしたビジョンがない。県内移設は「極めて厳しい」と繰り返すが、政府と調整するのりしろは大きい。

 政府は普天間問題で県と協議する場を設置する考えだが、これについて知事は辺野古を前提にした協議会には否定的だ。県外移設を求める声が大きいことを理由にしている。それなら基地問題全般について協議できる場を政府に求めてはどうか。

 沖縄の「負担軽減」には、ポスト振計とリンクさせた総合的な脱基地経済、地域主権について政府と協議する必要がある。

 その橋渡し役を担うはずの民主党沖縄県連は対応に揺れている。

 党本部から陰に陽に締め付けもあろうが、知事選は地方選挙であり県連が主体性を発揮すべきだ。衆院選で県内反対を訴え当選した2人は公約の具体化に向けぶれないことだ。21世紀に向け大切な知事選で、あいまいな態度では沖縄の未来図は描けない。 (沖縄タイムス8/4社説



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Posted by ミチさん at 23:55│Comments(0)反基地
 
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