2010年06月07日

この人に注目!(3) 目取真 俊さん

シリーズ第3弾はこの人

わったーシマ今帰仁出身の芥川賞作家です。
かつて辺野古地区で中学校教員をした経験があり、現在はやんばるで執筆活動をしておられます。沖縄きっての論客。
もっとよく知りたい人は彼のブログ「海鳴りの島から」をご覧下さい(サイドバーのお気に入りにあります)。

新聞にもよく寄稿されていますが、ここに紹介するのはその中でも最も新しい6月2日に琉球新報に掲載されたものです。
おそらく日米共同声明(5/28)の直後、鳩山首相が辞任を表明する前の段階で書かれたものですが、追いつめられるのは政府としっかり言及しています。

この人に注目!(3) 目取真 俊さん
(琉球新報6/2)


くり返される差別 追いつめられるのは政府
沖縄切捨ての日米声明
   
目取真 俊

 
普天間飛行場移設問題は、移設先を名護市辺野古とする日米の共同声明で、再び「県内」へと振り出しに戻された。作家目取真俊氏に、寄稿してもらった。

 5月28日、日米安全保障協議委員会(2プラス2)で合意された共同声明が発表された。声明は普天間飛行場の代替施設を「キャンプ・シュワブ辺野古地区及びこれに隣接する水域に設置する」と明記した。

 その日の夕方、名護市役所の中庭で「辺野古合意」を認めない緊急市民集会が開かれた。雨の中、あいさつに立った稲嶺進市長は、「今日、私たちは屈辱の日を迎えた」と発言した。

 かつてサンフランシスコ講和条約が発効した1952年4月28日を、沖縄では「屈辱の日」と呼んだ。日本が主権を回復する一方で、沖縄は米軍支配下に切り捨てられたからだ。今回の共同声明は、5・28を新たな「屈辱の日」とした。

 いま沖縄で燃え上がっている怒りは、たんに鳩山由紀夫首相の裏切りや二枚舌だけに向けられるものではない。日本の平和と安全のために沖縄を犠牲にし、切り捨てる、というくり返される差別政策への怒りが根底にある。

 そこには、国体護持・本土防衛のための時間稼ぎとして持久戦を行い、一般住民と兵士の犠牲を大きくした沖縄戦とも共通する構図への認識がある。沖縄はしょせん、本土=ヤマトゥの利益を守るための「捨て石」でしかない、という認識だ。

 沖縄県の面積は国土全体の0.6%しかない。99.4%の他の都道府県では普天間飛行場の移設先を探せないから、0.6%の沖縄で移設=たらい回しするという。

 また沖縄以外の自治体はどこも反対で受け入れる所がないから、名護市辺野古に移設するという。名護市でも稲嶺市長は、移設反対!と言い続けている。にもかかわらず、その声は無視される。

 このような政府の対応を、沖縄への差別と言わずして何と言うか。このような差別をごまかすために、海兵隊の抑止力や沖縄の地理的優位性を持ち出しても、沖縄県民には通用しない。

 沖縄ではこれまで、在沖海兵隊や在沖米軍の検証が、多様な角度からなされてきた。抑止力論や地政学が、沖縄に基地を固定化するために持ち出されていることを、県民は知っている。

 この国の政治家や官僚は、日本国憲法は米国に押し付けられたものであり、自主憲法を制定すべきだ、と主張する者にかぎって、外交では米国の押し付けに言いなりとなり、自主外交を展開しようとしない。

 そして、日米同盟の重要性を強調し、日本の平和と安全のために日米安保体制が必要不可欠だと言いながら、それに伴う米軍基地の負担を担おうとせず、沖縄に押し付けてきた。


 自公政権から民主党を中心とする連立政権に代わっても、沖縄への基地押し付け、集中という差別の構図は、結局、何も変わらなかった。

 ただ、政府は変わらなくても、沖縄側は大きく変わっている。今の沖縄の動きは、15年前の米兵3人による暴行事件を契機とした動きとも、異なった質を持つ。

 米軍や政府への直接的な怒りだけでなく、この15年のたたかいの経験や理論の積み重ねがあり、こちを取り巻く政治、経済状況の変化がある。もはや振興策を使った懐柔策は通用しない。

 辺野古「移設」=新基地建設を沖縄県民はけっして許さない。もし強行して沖縄と全面対決になれば、追いつめられるのは政府の方だ。(作家)


4月、NHKが4月25日に放送したETV特集「大田昌秀元知事・本土に問う」の中で、目取真俊さんの考えがよく出ているところがあるのでしばらくお付き合い下さい。2分30秒経過したところから始まります。
http://www.youtube.com/watch?v=PI_ysCTZr6M&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=GRB1wPbaYz8&feature=related (前半2分57秒までのところ)

大田昌秀(6/12に85歳になる)と目取真俊(49歳)、世代をつなぐ、歴史に残る対談だと思っています。




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Posted by ミチさん at 17:24│Comments(0)反基地
 
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