2010年06月04日

辺野古案継承で「菅首相」スタート

辺野古案継承で「菅首相」スタート
(沖縄タイムス6/4速報、記事全文はコチラ



沖縄2紙の今朝の社説です



       
[鳩山政権8カ月]「浮ついた政治」に終始


 約8カ月前、こんな結末が訪れることを誰が予想しただろうか。

 戦後初の本格的な政権交代が実現し、鳩山由紀夫氏が第93代首相に就いたのは昨年9月16日だった。就任後の記者会見では「日本の歴史が変わるという身震いするような感激と、強い責任を感じた。国民の皆さまの政治をつくり出すためには、脱官僚依存の政治を世の中に問うて実践しなければならない」と述べた。

 振り返ってどうだろう。米軍普天間飛行場について、事実上の選挙公約として「最低でも県外」と公言し、自公政権の辺野古埋め立て案を「自然に対する冒涜」と言い切りながら、最終的に導き出した答えは辺野古案回帰だった。

 言葉遊びに終始した首相の発言はあまりにも軽く、県民のみならず国民の政治不信を招いただけだ。就任会見の「強い責任」という言葉が今となってはしらじらしく響く。

 退陣表明では在任中の成果として、子ども手当、高校授業料実質無償化、農家の戸別所得補償制度のスタートを列挙した。政権公約(マニフェスト)の実行を強調したのだろうが、それらについても財源の裏付けが十分でないため、残念ながら国民からそう評価されていない。

 新政権が旧来の自民党政治を否定することによって新味を出そうとしたのは、政権交代が実現した以上、当然である。だが、自民党政治に代わる新しい政治の実現はまだ道半ば。政治とカネに象徴される古い政治に振り回され続けた8カ月だった。

 もちろん、「功」がなかったわけではない。

 代表的なものが、事業仕分けだろう。国民の監視が行き届かない事業予算や公益法人の実態について、公開の場で要・不要を判断していく透明性は国民の支持を得た。

 さらに、自民党中心の政府が長年にわたって存在そのものを否定してきた沖縄返還交渉に関する日米密約が明らかになったのも、政権交代があったからこそだ。

 皮肉な話だが、日米安保の存在意義や、沖縄に過度に集中している米軍基地の問題について、県外の人々が向き合わざるを得なくなったのは確かだ。

 基地や訓練の移設候補地からは、例外なく「反対」が叫ばれた。国民が歓迎しない米軍基地を沖縄に過重負担させている「差別」の実態が全国的な規模で議論になったのは、これまでになかったことである。


 鳩山首相は、基地負担の軽減を県民に期待させながら、失望、不信、怒りをかったまま退陣する。置き土産は、辺野古移設を明記した日米共同声明だ。

 この「首相の敗北」は端的に言って「政治主導の敗北」である。官僚政治からの脱却を掲げ、官僚を遠ざけて県外移設を追求したにもかかわらず、首相は日米事務官僚が一体となった首相包囲網を突破することができなかった。

 政府と党の関係、政務三役と官僚の関係は、依然として整理されていない。政治主導の「新しい政治」はまだ実現されていないのである。 (沖縄タイムス6/4社説


       
民主党代表選 徹底して政策競い合え


 鳩山由紀夫首相の退陣表明を受け、民主党は4日に代表選挙を実施し、同日中に新内閣が発足する。

 米軍普天間飛行場の県外移設の公約を覆して沖縄県民の深い失望を招いた責任と、政治とカネをめぐり、国民から二重の不信を買った鳩山氏の退場劇の直後である。

 立候補者には、県外移設を強く求める沖縄の民意を反映した普天間飛行場の返還・移設問題の新たな打開策を示し、国民生活に寄り添った政策論議を徹底してもらいたい。それが民主党の再出発の土台である。

 まず、日程について指摘しておく。今回の代表選の結果は次の首相の選任に直結する。8カ月間に及ぶ政権の迷走の原因を明らかにした上で、候補者同士が厳しい論戦を通してこの国の将来構想をしっかり示し、国民の理解を得る場にしなければならない。

 だが、民主党は首相退陣のわずか2日後に両院議員総会を招集し、新代表を選ぶことを決めた。

 新内閣へのご祝儀相場の支持が得られ、野党側の追及材料が乏しいうちに規定方針通り、参院選になだれ込もうとするご都合主義がにじむ。党利党略との批判は免れず、野党側の反発は当然である。

 後継代表選びは、菅直人副総理兼財務相と樽床伸二衆院環境委員長の一騎打ちの様相となっている。

 党内実力者である小沢一郎幹事長と距離を置き、代表経験がある岡田克也外相、前原誠司国交相兼沖縄担当相らが菅氏支持を表明した。小沢氏の影響力低下を狙い、機先を制する動きに映る。

 野党時代に沖縄での党勢拡大に腐心した菅氏は代表だった2003年、在沖海兵隊の米本土撤収を主張していたが、鳩山政権発足後は普天間問題での発言を控えていた。今回の出馬に当たり、先の日米合意を踏まえて沖縄の負担軽減に努力する姿勢を示したが、基本的に普天間飛行場の辺野古移設方針を踏襲している。

 一方、党内最大の小沢グループの支持を取り付けた樽床氏は、日米合意を尊重すると表明した。沖縄の合意を得ていない案の実現可能性はない。鳩山首相退陣の真因を見つめ直し、両氏は国外・県外移設に方針を転換すべきである。

 ばらまき型との批判がある政策の転換や財政再建の道筋など、政見を正面からぶつけ合うとともに、沖縄を置き去りにしない党首像を示してもらいたい。(琉球新報6/4社説



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Posted by ミチさん at 22:52│Comments(0)反基地
 
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