2010年06月04日
米議会も“辺野古は無理”を知っている
今朝の琉球新報はトップ紙面に、菅・樽床両氏の写真と並べて、ワシントン発の下の記事を掲載した。
特派員としてアメリカ情報を発信し続けている与那嶺路代記者の記事だが、今回もなかなか鋭い。

記事全文です
ワシントン発
米上院軍事委員会は国防予算の大枠を決める2011会計年度の国防権限法案で、在沖米海兵隊グアム移転費のうち、政府原案の7割にあたる3億2千万ドルを削減した理由の一つは、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に関する地元合意がなく、実現が不透明なためだ。
委員会は、両政府が交わした“取り繕い”の合意の内実を見透かし、地元の反発を押して予算計上することに、「待った」をかけた。
日米合意について、仲井真弘多知事は「極めて厳しい」と指摘し、稲嶺進名護市長は協議に応じない強固な反対姿勢を貫いている。
委員会は法案の添付文書で、普天間移設について「沖縄県知事から埋め立て許認可を得ることが、国防総省にとっての“具体的な進展”のはずだった」と、これまでの国防総省の見解を紹介した。
だが、実際の状況として「日本政府はキャンプ・シュワブへの移設の詳細を決めていない。その詳細を国防総省が認めるかどうかも不明で、移設は先が見えない」と、政府見解に反し、具体的な進展がみられないことに不満を示した。
削減の理由は普天間だけではない。米海兵隊がグアム東部に予定する実弾射撃場の建設が、現地で大きな問題に発展しているからだ。
当初、米軍は射撃場を「基地内」に造る予定だったが、08年の内部計画で、「基地外」に建設することが明らかになった。
射撃場の建設予定地の一部は州有地。もともと土地を持たないチャモロ人や、戦後米軍に土地を接収された人々の子孫に、代わりの土地を分け与えるために用意されたものだ。
地元の状況や歴史、文化を把握せず、軍事的な価値判断だけで基地を拡大していく米軍の手法は、沖縄でも似通っている。
現地の反発を踏まえ、委員会は「射撃場ができていないのに、空軍基地内の建設を先に始める必要がない」と、緊急性のない空軍関連の3事業をばっさり削った。
委員会は、海兵隊移転自体を否定してはいない。米国は日本に比べ納税者意識がはるかに高く、巨額の予算をつぎ込むことに議会の厳しい監視機能が働く。今回の予算削減決定は、沖縄やグアムの意向を無視した合意・計画への異議、実現可能性への疑問を、政府に毅然(きぜん)と突き付けた。
追記:
この米上院軍事委員会の動きこそが、菅新政権の対米交渉のカードになるのではないかと、池田香代子ブログ(6/5)は菅新首相の奮起にエールを送っている。一読あれ。
特派員としてアメリカ情報を発信し続けている与那嶺路代記者の記事だが、今回もなかなか鋭い。
(琉球新報6/4、1面)
記事全文です
ワシントン発
沖縄合意なく“待った” 日米の“取り繕い”見透かす
米上院委、海兵隊グアム移転費7割削減
米上院軍事委員会は国防予算の大枠を決める2011会計年度の国防権限法案で、在沖米海兵隊グアム移転費のうち、政府原案の7割にあたる3億2千万ドルを削減した理由の一つは、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に関する地元合意がなく、実現が不透明なためだ。
委員会は、両政府が交わした“取り繕い”の合意の内実を見透かし、地元の反発を押して予算計上することに、「待った」をかけた。
日米合意について、仲井真弘多知事は「極めて厳しい」と指摘し、稲嶺進名護市長は協議に応じない強固な反対姿勢を貫いている。
委員会は法案の添付文書で、普天間移設について「沖縄県知事から埋め立て許認可を得ることが、国防総省にとっての“具体的な進展”のはずだった」と、これまでの国防総省の見解を紹介した。
だが、実際の状況として「日本政府はキャンプ・シュワブへの移設の詳細を決めていない。その詳細を国防総省が認めるかどうかも不明で、移設は先が見えない」と、政府見解に反し、具体的な進展がみられないことに不満を示した。
削減の理由は普天間だけではない。米海兵隊がグアム東部に予定する実弾射撃場の建設が、現地で大きな問題に発展しているからだ。
当初、米軍は射撃場を「基地内」に造る予定だったが、08年の内部計画で、「基地外」に建設することが明らかになった。
射撃場の建設予定地の一部は州有地。もともと土地を持たないチャモロ人や、戦後米軍に土地を接収された人々の子孫に、代わりの土地を分け与えるために用意されたものだ。
地元の状況や歴史、文化を把握せず、軍事的な価値判断だけで基地を拡大していく米軍の手法は、沖縄でも似通っている。
現地の反発を踏まえ、委員会は「射撃場ができていないのに、空軍基地内の建設を先に始める必要がない」と、緊急性のない空軍関連の3事業をばっさり削った。
委員会は、海兵隊移転自体を否定してはいない。米国は日本に比べ納税者意識がはるかに高く、巨額の予算をつぎ込むことに議会の厳しい監視機能が働く。今回の予算削減決定は、沖縄やグアムの意向を無視した合意・計画への異議、実現可能性への疑問を、政府に毅然(きぜん)と突き付けた。
(与那嶺路代米ワシントン本紙特派員)
追記:
この米上院軍事委員会の動きこそが、菅新政権の対米交渉のカードになるのではないかと、池田香代子ブログ(6/5)は菅新首相の奮起にエールを送っている。一読あれ。
Posted by ミチさん at 22:33│Comments(2)
│反基地
この記事へのコメント
時々記事を読ませてもらっています。アメリカの生のニュース、本土のマスコミが伝えない事実が分かり、とても参考になります。静岡県の人間ですが、沖縄の基地問題には関心があり、辺野古や高江に米軍基地を作らせないよう、静岡の血でもささやかですが仲間と運動をしています。
7月には1週間、高江に行って座り込みに参加しました。辺野古にもし工事を強行するなら、1月以上滞在して、沖縄の人々とともに反対運動に参加するつもりです。
今後も有益な取材活動、期待しています。 竹野昇
7月には1週間、高江に行って座り込みに参加しました。辺野古にもし工事を強行するなら、1月以上滞在して、沖縄の人々とともに反対運動に参加するつもりです。
今後も有益な取材活動、期待しています。 竹野昇
Posted by 竹野昇 at 2010年08月04日 07:38
>竹野昇さん
コメントありがとうございました。
先日、北部戦跡調査のフィールドワークで静岡市から参加されていた富田さん(男性)という方と知り合いになりました。彼もたびたび沖縄に通っておられます。
竹野さんともきっといつかお会いすることがある予感がしております。
これからもよろしくお願いします。
コメントありがとうございました。
先日、北部戦跡調査のフィールドワークで静岡市から参加されていた富田さん(男性)という方と知り合いになりました。彼もたびたび沖縄に通っておられます。
竹野さんともきっといつかお会いすることがある予感がしております。
これからもよろしくお願いします。
Posted by ミチさん at 2010年08月05日 18:22