2010年03月29日

本土住民に聞きたい

本土住民に聞きたい
(沖縄タイムス3/28)



  
安保国民世論 沖縄の痛み共有し行動を


 日米同盟について「現状のままでよい」とする現状追認の答えが59%を占めた。日米安全保障条約改定から50年の節目に当たって、本社加盟の日本世論調査会が実施した全国世論調査の結果だ。

 同盟関係を「強化する」は17%。「弱める」は16%で「解消する」は3%にとどまった。

 昨年秋に琉球新報社と毎日新聞社が行った県民世論調査では、4割強が安保条約を「平和友好条約に改めるべきだ」と答え、安保「維持」は17%弱、「米国を含む多国間安保条約に改める」15%強、「破棄」は10%強だった。

 二つの世論調査は単純比較できないが、軍事同盟色を薄めたい県民世論と、現状追認の国民世論との意識の隔たりがうかがえる。

 国民が戦後65年、「平和国家」として日本が発展したのは米国のおかげと肯定的に評価するのは自由だ。でも忘れてはいけない。沖縄は在日米軍専用施設の74%を抱え、県民は多発する米軍絡みの事件事故や航空機騒音被害など基地過重負担に苦しめられている。

 安保条約は前文で「民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護」とうたう。沖縄からすれば、これは画餅(がべい)だ。常に米軍優先で、本土で当たり前の安心・安全な暮らしや社会・経済活動が沖縄では脅威にさらされているからだ。

 本土住民に聞きたい。自身や家族の安全が米軍に脅かされても日米同盟を手放しで評価できるか。

 米軍普天間飛行場の移設先についての回答では、日本国外が38%、沖縄を除く日本国内が21%、県内移設が30%を占めた。

 日本の安全を守るために米国の核兵器に頼る「核の傘」の必要性は「必要だ」との回答が49%、「必要ない」は46%だった。

 普天間の国外・県外移設要求が59%を占め、「核の傘」をめぐる回答が拮抗(きっこう)したのは、日米同盟の全面肯定ではない、国民世論の微妙な揺れも感じさせる。

 ここで思考停止は禁物だ。外国軍隊の長期駐留の受け入れは正常なのか。オバマ米大統領の「核兵器なき世界」の提唱以来、国際社会が核軍縮・廃絶へ歩む中、唯一の被爆国の国民が「核の傘」の下に安住し続けるのは自然なことか。

 安保の矛盾を沖縄に封じ込める。この国の民主主義は健全に機能しているか。沖縄の痛みに思いをはせる国民感覚の醸成を期待したい。(琉球新報3/29社説より)



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Posted by ミチさん at 14:04│Comments(0)反基地
 
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