2009年12月16日

もうすぐ四十九日忌 浮かばれぬ一つの命

先月8日、読谷村楚辺の外周道路わきの雑木林の中で身元の分からない男性の変死体が発見された。
私も以前車で走ったことがあるが、スピードを出したくなるような見通しのよい道で、人の姿はほとんど見かけないところだ。
翌日、遺体の身元が近所に住む66歳の男性で早朝の散歩を日課にしていたことが分かる。

目撃者はいなかったものの、事故後、被害者を雑木林の中に運び逃げ去ったものと思われる(酒気帯びr運転の可能性も)。

事故車から容疑者が浮上。近くにある米軍基地所属の米軍関係者とほぼ断定。地元警察は事情聴取と身柄引渡しを迫るが、日米地位協定を盾に応じず。それ以上に私たちにとって重要なのは、日本政府が容疑者の身柄引き渡しを米政府に要求していない事実だ。


 ・・・・・琉球新報12/13社説(太字等はブログ管理者の編集による)・・・・

  きょう村民大会 米軍の容疑者隠匿許すな

 「米軍人によるひき逃げ死亡事件に抗議する読谷村民総決起大会」が13日、開催される。安田慶造村長が実行委員長を務め、各種団体が参加する超党派の大会だ。

 今回の事件は容疑者の2等軍曹が特定されているにもかかわらず、逮捕はおろかろくろく事情聴取もできていない。日本人が容疑者ならとっくに逮捕しているケースだ。

 現在の状況を正確に言い表すとすれば「悪辣(あくらつ)な事件を引き起こした疑いのある兵士を米国がかくまっている」ということになる。

 米側は2等軍曹を禁足下に置いていると説明したが、実際は兵舎の一室から通常通り軍務に従事し、携帯電話は自由に使用しているという。事件前に行動を共にした兵士がいたとすれば、口裏合わせができるし、証拠隠滅も可能だ。犯罪の立証は時間が経過するほど困難になる。事件そのものが迷宮入りしかねない。

 このような理不尽な現実を前にして、日本政府は米国に対し身柄の引き渡しさえ求めていない。米側に一方的に有利な日米地位協定が存在するためだ。だからといって現状を傍観していいものか。

 外務省は米国の姑息(こそく)な姿勢を目の当たりにしながら一言の文句も言えない。公平中正を旨とし公共の安全と秩序の維持に当たるのが警察の責務だが、米軍相手だと及び腰になるらしい。国民の権利を守れない日本の閣僚、官僚のありさまは情けない限りだ。米軍人はたとえ罪を犯しても基地のフェンスに守られ、逃げおおせることができる。これでは公正な法の執行などできるわけがない。

 村民大会では、被疑者の身柄の引き渡しのほか、被害者側への謝罪と完全な補償、日米地位協定の抜本的見直し、米軍人・軍属による犯罪の根絶を要求する抗議決議案を採択する。

 読谷村ではかつて、村民ぐるみの抗議行動によって米軍のアンテナ基地の建設を撤回させるといった実績がある。今回の場合、本来なら県知事が先頭に立って全県民的な抗議行動を起こすべき事案だ。県の取り組みの弱さは否めない。

 図らずもひき逃げされ命を落とした被害者の無念さを考えると、胸が張り裂ける思いだ。

 日本政府は、読谷村民、沖縄県民の切実な訴えに真剣に耳を傾け、米国に対し毅然(きぜん)とした態度で身柄の引き渡しなどを要求すべきだ。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-154157-storytopic-11.html


 ・・・・・沖縄タイムス11/11社説(太字等はブログ管理者の編集による)・・・・

   
 [米兵ひき逃げ事件] 事実関係の究明を急げ


 読谷村楚辺の読谷補助飛行場跡地近くで、男性(66)がひき逃げされ死亡した事件で、米軍捜査当局は事件に関与していたとして、トリイ通信施設所属の陸軍兵を拘束した。ひき逃げのYナンバー車を整備工場に持ち込み、修理を依頼した疑いが持たれている。陸軍兵が車を運転し、ひき逃げしたのかどうかについては取り調べ中という。

 同基地のジェームス・ウッダード司令官が村役場を直接訪れ、安田慶造村長に謝罪するとともに、身柄引き渡しについて、県警から正式な要請があれば、前向きに応じる姿勢を示した。

 県警も独自に捜査をしている。Yナンバー車のフロントガラスに付着していた髪の毛や血液などが死亡した読谷村の男性と一致したことから、この車がひき逃げに使われたと断定している。

 さらに陸軍兵がひき逃げ事件を起こした可能性があるとして、自動車運転過失致死と道交法(救護義務)違反の疑いで、読谷村の民間地域にある陸軍兵のマンションを家宅捜索している。

 米軍が自ら身柄の引き渡しに応じる考えを示すのは異例だ。対応も素早い。容疑者の身柄拘束の情報は、県警の発表より早かった。

 8日に米軍普天間飛行場の県内移設に反対する県民大会が開かれ、13日にはオバマ大統領が初来日することが背景にあるのは間違いない。この時期に身柄引き渡しが政治問題として浮上するのを避けたい米軍の思いがあるからだろう。

 死亡した男性は早朝のウオーキングを日課としており、村によると、発見されるまで10時間以上も放置されていたという。

 安田村長が「日米地位協定があろうが、外国に駐留する以上、その国民の人権を最大限尊重すべきだ」とウッダード司令官に強く抗議し、身柄引き渡しと綱紀粛正を要求したのは当然である。

 県警は容疑者の事情聴取をまだ実施していない。ここは、容疑が固まり次第、毅然(きぜん)と身柄引き渡しを求め、容疑者を取り調べ、事件の全容解明を急ぐのが筋だ。

 日本側にすぐ引き渡されないのは地位協定17条5項c「身柄が合衆国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行う」が根拠だ。米兵による暴行事件後の1995年10月、凶悪事件で、起訴前の身柄引き渡しに「好意的配慮を払う」ことになった。「運用改善」による措置だが、実現したのはわずかだ。

 98年10月に北中城村で女子高校生が酒気帯びの海兵隊員が運転する車にひき逃げされ、死亡した事件でも引き渡されなかった。「好意的配慮を払う」主体はあくまで米側だからだ。

 身柄引き渡し問題はさまざまな不平等事項を含む地位協定を象徴する。米軍は今回、県警から要請があれば、身柄引き渡しに前向きの発言をした。ただ、県警が引き渡しを要求した場合に、米軍が実際どういう態度を取るのか。県警の捜査の推移とともに注目していきたい。
http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-11-11-M_1-005-1_001.html



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Posted by ミチさん at 00:22│Comments(0)反基地
 
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