2012年07月29日

オスプレイだけでない沖縄の空の脅威

 日米安保条約・地位協定で認められた通常の基地使用、装備変更であっても、それが周辺住民の日常生活に大きな影響を及ぼす場合がある。このようなケースへの対応が、外務省も防衛省も、極めて弱い。

 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの普天間配備をめぐる問題はその典型例であるが、似たような問題が新たに浮上した。

 真部朗沖縄防衛局長は、26日の定例記者会見で、米空軍のF22ステルス戦闘機12機(1個飛行隊)が28日ごろから約6カ月間、嘉手納基地に暫定配備されることを明らかにした。

 飛行中にパイロットが低酸素症とみられる症状を起こし意識を失うなどのケースが、F22は、2008年4月から11年1月までに25件確認されている。空軍は11年5月に飛行を停止した。同年9月に再開したが、テレビに出演したパイロットが安全への不安を訴えたこともあって、今年5月から飛行を制限している。

 米国防総省の説明では、パイロットに酸素を供給するシステムに不具合があり、改善策を講じた、という。米国防総省のリトル報道官はその一方で、不具合対策が完了したわけではないことも認めている。



オスプレイだけでない沖縄の空の脅威 
(沖縄タイムス7/26、記事原文はこちら



オスプレイだけでない沖縄の空の脅威
(琉球新報7/29、記事原文はこちら



オスプレイだけでない沖縄の空の脅威
(沖縄タイムス7/29、記事原文はこちら



オスプレイだけでない沖縄の空の脅威 
(沖縄タイムス7/29)



琉球新報7/28社説 F22暫定配備 米国に飛来中止を求めよ
下
 
F22暫定配備 米国に飛来中止を求めよ

 米空軍は、飛行中に低酸素症に似た症状を訴える操縦士が相次ぎ、運用を制限していたF22ステルス戦闘機12機を28日ごろから、6カ月間、嘉手納基地に暫定配備する。

 2007年以来、数カ月単位の暫定配備は今回で6度目を数える。そのたびに爆音が激化し、基地周辺住民の生活をかき乱してきた。

 米軍普天間飛行場に垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備強行に突き進む日米政府への反発が渦巻く中、F22の配備は沖縄社会の負担感を一層強めることになる。

 周辺自治体の猛反発は当然である。地元の声に耳を傾け、政府は今からでも暫定配備中止を米側に働き掛けるべきだ。

 F22は10年11月に米アラスカ州で墜落した。体調不良を訴える操縦士が相次いだことから、酸素発生装置に不具合があるとして、11年5月から4カ月半、全機の飛行が停止された。

 4月には、一部パイロットが搭乗免除や他機種への配置換えを希望する異例の事態が生じた。米国防総省は、異常が発生した場合、すぐに着陸できる飛行場の近くでの運用に限定していた。

 F22の安全性には深刻な疑念が付きまとう。

 国防総省は操縦室の酸素供給システムを改善したとする一方、防止策は完了していないとし、今秋までに完了して全面運用するという。嘉手納暫定配備は、飛行制限撤廃に向けた実験飛行に映る。

 民間機に比べ、戦闘を想定した過酷な飛び方を強いられる戦闘機の不備が完全修復されていないのに、深刻な騒音被害が続く嘉手納基地に臆面もなく12機も暫定配備する無神経さが際立つ。

 嘉手納基地の総離着陸回数(11年度)は3万5960回のうち、外来機が1万620回と約3割を占めている。本土の航空自衛隊基地へのF15戦闘機の訓練移転の効果が乏しいまま、外来機の飛来、暫定配備が常態化すれば、負担軽減は名ばかりになる。

 米側の意向に従い、配備を容認する日本政府は、沖縄の民意に背を向けている。沖縄への本格配備前の岩国基地へのオスプレイの一時駐機、試験飛行と通ずる、軍事最優先の構図だ。

 米国の一部識者は、中国への抑止力強化を名目に嘉手納基地へのF22の常駐を主張する。暫定配備が嘉手納基地の機能強化につながらないよう、警戒を強めたい。
(琉球新報7/28社説、記事原文はこちら


沖縄タイムス7/28社説 [F22嘉手納配備] 問答無用の手法憂える
下

[F22嘉手納配備] 問答無用の手法憂える

 日米安保条約・地位協定で認められた通常の基地使用、装備変更であっても、それが周辺住民の日常生活に大きな影響を及ぼす場合がある。このようなケースへの対応が、外務省も防衛省も、極めて弱い。

 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの普天間配備をめぐる問題はその典型例であるが、似たような問題が新たに浮上した。

 真部朗沖縄防衛局長は、26日の定例記者会見で、米空軍のF22ステルス戦闘機12機(1個飛行隊)が28日ごろから約6カ月間、嘉手納基地に暫定配備されることを明らかにした。

 飛行中にパイロットが低酸素症とみられる症状を起こし意識を失うなどのケースが、F22は、2008年4月から11年1月までに25件確認されている。空軍は11年5月に飛行を停止した。同年9月に再開したが、テレビに出演したパイロットが安全への不安を訴えたこともあって、今年5月から飛行を制限している。

 米国防総省の説明では、パイロットに酸素を供給するシステムに不具合があり、改善策を講じた、という。米国防総省のリトル報道官はその一方で、不具合対策が完了したわけではないことも認めている。

 暫定的とはいえ、12機の問題含みの戦闘機が配備されることによって、周辺住民は新たな不安にさらされることになる。それなのに沖縄防衛局は、嘉手納町や県の担当部署に事前の説明をしていない。照会があったから配備の事実を認めただけだ。

 嘉手納町は25日、F22の嘉手納配備をウェブ上のニュースで知り、沖縄防衛局に問い合わせた。防衛局からはその日に電話で連絡があったという。県も25日、防衛局に照会し、その日のうちに配備の回答を得た。

 暫定配備に事前説明は不要だと考えていたとすれば、緊張感を欠いた機械的処理だと言わざるを得ない。

 オスプレイ配備に関しても、政府の後手後手の対応が目立つ。米軍が12機のオスプレイを山口県岩国基地に陸揚げしたのは、23日。反対運動の全国的広がりに危機感を抱き、26日になってようやく日米合同委員会を開いた。

 野田佳彦首相は16日、民放のテレビ番組で「配備自体は米政府の方針で、どうしろこうしろという話ではない」と語った。

 民主党政権は、鳩山由紀夫元首相の「失敗」以来、安保問題に極めて臆病になっているが、首相本人がこんな具合に金縛りにあっているのである。

 安保条約・地位協定で認められた通常の配備であっても、それが受け入れ国の中で政治問題に発展すれば、当然のことながら、日米の議論の対象にしなければならない。言わずもがな、の話だ。

 沖縄から日米安保体制を定点観測していると、本土からは見えにくい「いびつな実態」に何度もぶつかる。

 「いびつな実態」を放置し、従来のような対応を重ねていると、安保体制は内部から崩れるだろう。
(沖縄タイムス7/28社説、記事原文はこちら












同じカテゴリー(いま沖縄社会で起こっていること)の記事
TPP反対県民集会
TPP反対県民集会(2014-05-11 20:49)


 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。