2009年01月18日

司法判断が無視された! 国が泡瀬干潟埋め立てを強行

        泡瀬埋め立て 今は事業再検証の時だ

 中城湾港新港地区で、泡瀬干潟埋め立て事業の第一区域に投入する土砂のしゅんせつ工事が始まった。

 新港地区の港湾整備によって発生する土砂の処理・有効利用を図りたい国と、人工島建設によって地域活性化を図りたい沖縄市の思惑が合致し、国、県、市の三者が役割を分担しながら進めてきた公共事業である。
 だが、この計画に裁判所から疑問符がついた。

 「経済的合理性が認められない」―那覇地裁が泡瀬干潟埋め立て事業の費用対効果を疑問視し、県と沖縄市に対して新たな公金支出の差し止めを命じる判決を言い渡したのは昨年11月のことである。

 判決は、経済的合理性が認められないにもかかわらず、工事が進んでいることだけを理由に工事が継続されるようなことがあってはならない、との考え方を明確に打ち出した。


 公共事業は、いったん工事がスタートすると、計画を中断したり取りやめることが難しい。実際、沖縄市の東門美津子市長も第一区域については「工事の進ちょく状況から考えて推進せざるを得ない」と語っていた。

 そのような公共事業のあり方に司法が正面から疑問符を突きつけたのである

 地裁判決を受けて市と市民が一緒になって埋め立て事業を再検証していくことが重要だ。

 工事再開によって後戻りのできない状態がますます進むと、「結論ありき」になってしまい、冷静な議論が閉ざされかねない。


 沖縄市が「経済活性化の起爆剤」と位置づけてきた東部海浜開発事業は、二つの大きな問題を抱えている。

 泡瀬干潟に生息する貴重な生き物をどのように保護していくかという問題と、埋め立て後の土地利用計画の問題である。
 

 泡瀬干潟を埋め立て、約187ヘクタールの人工島(第一区域約96ヘクタール、第二区域約91ヘクタール)を築き、大型ホテルなどを誘致してマリンリゾートを形成する、というのが当初の計画だ。

 だが、土地利用計画はバブル期に策定されたもので、現状にあわない。

 干潟を埋め立てての人工島づくりがほんとうに今、必要な施策なのか。「工事が進んでいる」という現状追認の理由だけで工事を進めると、将来に禍根を残すことにならないか。

 市はよくよく当初計画の中身を吟味してほしい。

 沖縄市では、保守革新を問わず、市と市議会の大多数が、こぞってこの事業を推進してきた。確かにその通りだ。

 だが、当初計画の策定当時と比べ経済環境が激変し、市民意識が変化しつつあることも事実であることは沖縄県の将来像や振興のあり方にもかかわる。
 工事再開によって推進派と反対派の対立が先鋭化し、「のぞましい地域づくり」のための議論が押しやられるのは好ましくない。強引な埋め立ては地域の対立を深めマイナスの結果しか生まないだろう。(沖縄タイムス 1/16社説)

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-01-16-M_1-005-1_001.html



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Posted by ミチさん at 23:43│Comments(0)泡瀬干潟埋め立て
 
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