2012年05月02日
議会に配慮 本音は辺野古
(琉球新報5/2、記事原文はコチラ)
首相の脳裏に沖縄なし 首脳会談に怒りの声
いいぞ!若者代表 カクマクシャカ

(琉球新報5/2、記事原文はコチラ)

(琉球新報5/2)
沖縄タイムス5/2社説 [日米首脳会談]どこへ行った負担軽減
[日米首脳会談]どこへ行った負担軽減
空疎と言わざるを得ない内容だ。沖縄の負担軽減はどこへ行ったのか。
野田佳彦首相とオバマ米大統領はワシントンで会談を行い、共同声明を発表した。公式の首脳会談は民主党政権では初めてだ。
これまでの日米首脳会談では米軍普天間飛行場の辺野古移設の推進を確認するのが常だったが、今回、普天間問題を棚上げし沖縄の負担軽減にも具体的な言及はなかった。
なぜか。日米両政府は先月25日、在日米軍再編見直しの共同文書を発表する予定だった。直前になって米上院のレビン軍事委員長(民主)ら重鎮からクレームが付き発表を延期した。共同文書は当初、辺野古移設を「唯一の有効な解決策」としていたが、玉虫色にして発表された。
レビン氏らは昨年、辺野古移設について「非現実的、機能せず、費用負担もできない」と酷評し、国防総省に断念を求めている。米国では予算は議会が作成するため、オバマ大統領が議会の顔色をうかがったのは間違いない。
共同文書をめぐるドタバタ劇と今回の共同声明は日米合意が事実上死文化していることを示している。
共同文書は、普天間移設と切り離して返還する嘉手納基地より南の5基地を13区域に分け「すみやかに返還」「県内で機能移設後に返還」「海兵隊移転後に返還」など3段階に区分している。
いずれも時期は明示していない。対象の基地も焼き直しで地元の意向を聞かないままの不透明な返還計画である。
与世田兼稔副知事が、真部朗沖縄防衛局長に「細切れ返還で、土地開発への影響が懸念される」として一体的な返還を求めたのは当然だ。
両首脳が発表した共同声明で顕著になったのは、自衛隊と米軍の一体化である。経済的、軍事的に台頭する中国を念頭に置いたものだ。南西諸島など島しょ防衛を強化する日本と、アジア太平洋地域を重視した米国が連携を深めることを明示した。
在日米軍再編見直しの共同文書では、グアムのほか、米自治領・北マリアナ諸島に自衛隊と米軍が共同使用する訓練場を整備することなどが盛り込まれている。
だが、これはグアム移転協定の趣旨から完全に逸脱するものだ。協定は、まがりなりにも、在沖米海兵隊をグアムに移転し、沖縄の負担軽減を図るという理由があったからである。
グアム移転の海兵隊が半分に減少したにもかかわらず、日本側の負担は28億ドルと変わらない。米国内のインフレ率で実際の負担は31億ドル程度という。円建てでは日本側の負担は2009年の協定署名時と同じ約2500億円と政府は説明するが、本来なら減ってしかるべきだ。その移転費で北マリアナ諸島などに共同訓練場を整備するという。
沖縄の負担軽減のための予算枠を使い、負担軽減とは何の関係もないことをやろうとしている。そもそも何を根拠にしているのか。
国会では十分な議論もなく、官僚主導で事が進んでいる。政治の姿が見えない。
(沖縄タイムス5/2社説、記事原文はコチラ)
琉球新報5/2社説 日米首脳声明/命脅かして安保か 普天間放置は罪深い
日米首脳声明命脅かして安保か 普天間放置は罪深い
直面する具体的な課題に目をつぶり、未来志向を前面に打ち出すことで蜜月ムードを演出する。
米ワシントンを初めて公式訪問した野田佳彦首相とオバマ大統領の日米首脳会談のことだ。
会談や共同声明は日米同盟の深化をことさら強調する一方で、根幹となる安全保障に関し、懸案である米軍普天間飛行場の返還・移設問題には触れなかった。いや触れられなかったと言うべきだろう。
沖縄の民意に真摯(しんし)に向き合おうとしない意思決定など、民主国家にあるまじき茶番劇というほかない。このままでは同盟深化の演出とは裏腹に、日米関係も沖縄問題も迷走を続けて行くだろう。
「空手形」の限界露呈
過去2回の野田―オバマ会談は、普天間飛行場を名護市辺野古に移設する現行計画の推進を確認してきた。
辺野古移設については仲井真弘多知事をはじめ県民の大多数が反対しているにもかかわらず、具体的な進展を求めるオバマ氏に対し、野田首相は「地元の理解に全力を挙げる」と約束。いわば「空手形」を切り続けてきた。
だが、日米両政府が首脳会談の4日前に発表した在日米軍再編見直しの共同文書は、辺野古以外にも検討の余地を広げる文言を初めて盛り込んだ。
辺野古移設をかねて疑問視し、嘉手納基地への統合案を提起する米上院のレビン軍事委員長ら米議会有力議員らに配慮したためとされる。辺野古で空手形を切り続ける限界を露呈したともいえる。
ただ、レビン氏らが掲げる嘉手納統合案は地元を中心に県民の反発も強く、辺野古と同様に実現は事実上不可能だ。首脳会談では空手形こそ封印したが、解決の糸口すら見えない普天間問題を単に棚上げしたにすぎない。
そもそも米軍再編見直しの共同文書そのものが、首脳会談の成果をアピールするための「小道具」との印象が否めない。レビン氏らに配慮するため、発表の期日が直前になって延期されたドタバタ劇からも明らかだろう。
首脳会談で棚上げされた懸案はほかにもある。民主党内にも根強い反対論がある環太平洋連携協定(TPP)についても、野田首相は交渉参加の表明を先送りした。党内事情はともかく、関税の原則撤廃により安価な外国産農産物の流入を懸念する農家の不安や疑問が払拭(ふっしょく)されたとは到底言い難い。自動車、保険、牛肉の3分野での市場開放を求める米側の圧力は強いが、安易な妥協は決して許されない。
負担軽減に逆行
共同声明は名指しこそしていないが、「中国包囲網」の色彩が濃い。南西諸島などでの警戒監視活動など「動的防衛力の構築」を図る自衛隊と、アジア太平洋を重視する米軍が連携を深める方針を確認。自衛隊と米軍の共同訓練や施設の共同使用で警戒監視や偵察活動などを強化する狙いだが、それによって、いたずらに中国側を刺激してはならない。
オバマ大統領は「核兵器なき世界」の構想を打ち出しノーベル平和賞を受賞したが、理想と行動が乖離(かいり)することなく、平和賞にふさわしい振る舞いを貫くべきだ。
その延長線上で、普天間の県外移設や基地負担の軽減を求める沖縄県民の声にも真剣に耳を傾けるべきだ。日米両政府は沖縄の負担軽減こそうたってはいるが、実現への意欲が全く感じられない。これ以上、思考停止は許されない。
そもそも普天間飛行場への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの7月配備が計画され、普天間の固定化がささやかれること自体が言語道断であり、負担軽減に逆行する。自由や民主主義、基本的人権の尊重を日米共通の価値観と高らかに掲げながら、沖縄に対する差別的対応は二重基準そのものだ。
県民の怒りのマグマは表向きは静かだが、再び臨界点に近付きつつある。日米両政府は、沖縄の民意を甘く見るべきではない。(琉球新報5/2社説、記事原文はコチラ)
Posted by ミチさん at 23:22│Comments(0)
│普天間返還合意15年