2012年05月23日
「復帰教育」にもっとエネルギーを
「沖縄戦」を通しての非戦・平和教育の取り組みが学校や家庭を中心に積極的に取り組まれてきたのに対して、戦後、とくに米国の施政権下の県民の公民権運動については、これまであまり取り上げられてこなかった。
その時代を生きた先人たちの思いや足跡をたどり“復帰”の意味を考えることは、現在の沖縄に生きる私たちの立ち位置を確認し、これからの沖縄をどう作っていくかを考える重要な手掛かりになる。
ともすれば現代史に十分な時間が取れない歴史学習だが、特に沖縄の若い世代には沖縄の戦後史をしっかり学んでほしい。
戦後日本人はやすやすと「日本国憲法」を手にしたが、沖縄の人たちにとっての「日本国憲法」は民権運動によって勝ち取ったものだ。にもかかわらず沖縄の人たちには、憲法が謳う“法の下の平等”も“平和的生存権”も今もって実現していない。1972年をリアルに生きた復帰世代はそのまやかしを若い世代にしっかりと伝える義務がある。
沖縄タイムス5/14社説 [復帰教育]世替わり体験 次世代へ
その時代を生きた先人たちの思いや足跡をたどり“復帰”の意味を考えることは、現在の沖縄に生きる私たちの立ち位置を確認し、これからの沖縄をどう作っていくかを考える重要な手掛かりになる。
ともすれば現代史に十分な時間が取れない歴史学習だが、特に沖縄の若い世代には沖縄の戦後史をしっかり学んでほしい。
戦後日本人はやすやすと「日本国憲法」を手にしたが、沖縄の人たちにとっての「日本国憲法」は民権運動によって勝ち取ったものだ。にもかかわらず沖縄の人たちには、憲法が謳う“法の下の平等”も“平和的生存権”も今もって実現していない。1972年をリアルに生きた復帰世代はそのまやかしを若い世代にしっかりと伝える義務がある。

(琉球新報5/15)
沖縄タイムス5/14社説 [復帰教育]世替わり体験 次世代へ
[復帰教育]世替わり体験 次世代へ
明治以降の沖縄の歴史には二つの大きな断層がある。沖縄戦をはさんで戦前と戦後に大きな断層があり、施政権返還をはさんで復帰前と復帰後に大きな断層がある。この二つの「世替わり」は住民の暮らしに極めて大きな変化をもたらした。
沖縄戦については、学校現場で取り上げられ、家庭でも語り伝えられてきたが、それに比べると、二つの「世替わり」の間にはさまれた27年に及ぶ「米統治下の沖縄」が語られる機会は、沖縄の中でも意外と少ない。
復帰前の土地の強制接収は基地問題の文脈の中で盛んに語られてきたが、貧しい沖縄の暮らしや住民意識など、複雑な心のひだが取り上げられることはなかなかない。
たとえば、「異民族支配」と「祖国復帰」。本土の若い世代が、今、こういう言葉に接したら、どこか遠い国の昔の出来事のような印象を受けるのではないだろうか。復帰後に沖縄で生まれた世代にとっても、この二つの歴史的な用語は、肌触りを欠いた言葉になってしまった。
沖縄大学で12日に開かれた「日本復帰40年を問う」シンポジウム。復帰運動にかかわった60~80代の政治家ら6人がそれぞれの濃密な体験を語った。会場には同世代を中心に多くの人たちが詰めかけ、体験談に自身を重ね合わせて聞き入った。
パネリストの一人が「もっと若い人たちに来てもらいたかった」と語ったように復帰運動に携わった人たちもだんだん少なくなっている。日本の中でも特異な沖縄の「世替わり」体験を、歴史に埋もれさせてはいけない。
1952年4月28日、サンフランシスコ平和条約が発効し、沖縄の施政権は米国に委ねられた。その年の11月、立法院は「琉球の即時母国復帰請願」を決議した。日本への復帰を「母国復帰」と表現していることに注目してほしい。50年代を通して民族感情を込めた「祖国復帰」という言葉がひんぱんに使われた。学校現場では、沖縄教職員会が中心になって日の丸掲揚運動や日本人教育が徹底された。
65年、ベトナム戦争が本格化し、沖縄の基地がフル回転し始める。民族主義的な復帰運動が、反戦復帰を求める運動に変わり始めるのは60年代後半からだ。
外国軍隊の行為によって私有財産や人権が脅かされ、軍事優先政策のために自治が著しく制限を受けていることに対する異議申し立て―それが復帰運動の底に流れる太い幹のような主張だった。
軍事植民地からの脱却を求める沖縄の声は、戦後、世界各地で展開された植民地解放運動ともつながる普遍性をもっていた。復帰に託した「平和な沖縄県」や「豊かな沖縄県」はどれだけ実現されたのだろうか。そのことを問い返す日が「5・15」である。
県教育庁は復帰前後の沖縄の状況を教えるよう県立高校に通知文を送付した。
直接体験していない教師も多い。「世替わり」の体験を引き継ぐためにも、学校で家庭で、話し合う機会をつくっていく必要がある。
(沖縄タイムス5/14社説、記事原文はこちら)

(琉球新報5/18、記事原文はこちら)
Posted by ミチさん at 01:57│Comments(0)
│本土復帰・沖縄主権