2012年03月15日

[高江ヘリパッド訴訟]自体の異常さに気付いてほしい

住民が国を訴えたのではない。国が住民を訴えたのである。判決の中身をうんぬんする前に、そのことの異常さに気付いてほしい。その異常さを考えてほしい。

ここでいう原告は国だが、具体的に訴訟という手段を思いついたのはおそらくあの「沖縄防衛局」だろう。

国が住民の反対運動の萎縮効果を狙って訴訟を起こしたとすれば(こういう訴訟のことを「スラップ訴訟」という。米国では提訴すること自体禁じている)、今回の判決に見られるような司法判断が前例になるとすれば、全国で体を張って合法的に国にモノを言っている人たちはどのように権利主張すればいいのか。

今回の判決では、この「スラップ訴訟」については触れず、住民側が主張した「国の訴権の乱用」については認めなかった。


[高江ヘリパッド訴訟]自体の異常さに気付いてほしい  
(琉球新報3/15、記事原文はコチラ




[高江ヘリパッド訴訟]自体の異常さに気付いてほしい 
(沖縄タイムス3/15、記事原文はコチラ



琉球新報3/15社説 高江着陸帯訴訟 木を見て森を見ぬ判断だ
 
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高江着陸帯訴訟 木を見て森を見ぬ判断だ

 沖縄に基地を押し付け続ける国の不正義と住民負担の深層に背を向けた、木を見て森を見ない判断と言えよう。

 東村高江の米軍ヘリ着陸帯新設工事をめぐり、住民の反対行動が妨害に当たるかが争われた訴訟で、那覇地裁は1人に妨害禁止を命じ、1人に対する訴えは退けた。

 この訴訟の核心は、圧倒的な力を持つ国が、自然・生活環境を守る粘り強い住民運動を抑え込む目的で起こした点にある。

 判決は妨害に当たるか否かを、物理的な住民の行動に絞り込んで判断している。訴訟自体が持つ問題性に対する裁判官の認識が読み取れない。これで人権の砦(とりで)と言えるのか、疑問を禁じ得ない。

 弱い立場にある住民側の行動を萎縮させる影響が懸念されるが、国は司法判断を盾に工事強行を当然視してはならない。

 提訴そのものが、弱い立場にある被告住民側をどう喝する効果を及ぼし、那覇市にある裁判所との往復、裁判費用の工面などの経済的負担と精神的疲労を強いている。

 市民への嫌がらせ的戦略を色濃く帯びた「スラップ訴訟」そのものと言っていいだろう。

 住民側は、訴権乱用に当たると訴えたが、判決は「どう喝目的はうかがえない」と退けた。

 その上で、住民1人が通路に立ちふさがるなどして工事車両の通行を妨げたと認定し、「表現活動の範囲を超えている」とした。

 反対行動への参加を不特定の「第三者」に呼び掛けたインターネットのブログなどを指し、国は工事現場の行為と異なる言論空間での表現行為まで臆面もなく禁止対象と主張した。

 だが、判決は「証拠不十分」として認めなかった。この点は憲法が認める表現の自由を担保した極めて当然の判断である。

 税金で訴訟を起こせる国に比べ、住民側は人的にも経済的にも厳しい闘いを強いられている。やむにやまれず連携を求める行為まで抑え込もうとした主張を国は恥ずべきだ。真摯(しんし)な反省を求めたい。

 判決は、高江住民の懸念を無視して強引に工事を進めることにお墨付きを与えたものではない。

 基地建設を強行する米軍や日本政府に体を張ってあらがう主権者の行動は沖縄戦後史に刻まれてきた。司法判断に乗じ、これ以上住民の声を封じる愚を重ねてはならない。
(琉球新報3/15社説 記事原文はコチラ



沖縄タイムス3/15社説 住民1人に妨害禁止命令 高江訴訟
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住民1人に妨害禁止命令 高江訴訟
 
 米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設をめぐり、国が移設に反対する住民2人に通行妨害の禁止を求めた訴訟の判決で那覇地裁(酒井良介裁判長)は14日、2人のうち伊佐真次さん(49)に対して「将来においても妨害行為をするおそれがある」として、通行を妨害しないよう命じた。一方、安次嶺現達さん(53)に対する請求は棄却した。

 住民側弁護団長の池宮城紀夫弁護士は「極めて不当で承服できない。2人の行動はあくまで正当な抗議行動だ」として控訴する方針。沖縄防衛局の真部朗局長は「一部、国の主張が認められなかった部分については、判決内容を慎重に検討し対処したい」とのコメントを発表した。

 国の基地施策に異論を唱える地元住民に対して、司法が将来にわたって妨害禁止を求める判断を示したことは、今後の住民運動に大きな影響を与えそうだ。

 判決で、酒井裁判長は、国側が主張する土地の所有権に基づく妨害予防請求権を認めた上で、伊佐さんについては、2007年8月に、作業用トラックの通行を妨害するためゲート中央部分に座り込むなど計5回にわたって妨害行為をしたと認定。同行為を「純然たる表現活動の範囲を超えている」と指摘した。さらに、伊佐さんがこれらの行為を「妨害に当たらない」と主張していることから、「将来においても妨害行為をするおそれがある」と判断した。

 一方、安次嶺さんについては、妨害行為は07年8月の1回のみで、行為が従属的だったことから、将来の妨害行為のおそれはないとした。

 国側が、2人が意を通じた第三者に妨害行為をさせたとする主張は退けられた。また、住民側が主張した国による訴権の乱用については「請求内容からただちに恫喝(どうかつ)目的がうかがわれるものでない」として、認めなかった。

 同訴訟は、沖縄防衛局による反対派住民ら14人への仮処分申し立てに対し、那覇地裁が09年12月、2人に通行妨害禁止を命令。防衛省が10年1月に2人を相手に提訴していた。
(沖縄タイムス3/15社説、記事原文はコチラ



[高江ヘリパッド訴訟]自体の異常さに気付いてほしい  
(沖縄タイムス3/15)



[高江ヘリパッド訴訟]自体の異常さに気付いてほしい 
(沖縄タイムス3/15)



[高江ヘリパッド訴訟]自体の異常さに気付いてほしい
(琉球新報3/15)



[高江ヘリパッド訴訟]自体の異常さに気付いてほしい
 
(琉球新報3/15)



琉球朝日放送のニュース映像(動画)
2012.03.14 高江ヘリパッド訴訟 住民1人に通行妨害禁止命令


【関連する日記アーカイブ】
2011.12.07 住民運動弾圧の前例をつくらせない!


3/16追記

[高江ヘリパッド訴訟]自体の異常さに気付いてほしい
(沖縄タイムス3/16)



3/17追記

[高江ヘリパッド訴訟]自体の異常さに気付いてほしい 
(沖縄タイムス3/16)



[高江ヘリパッド訴訟]自体の異常さに気付いてほしい 
(沖縄タイムス3/17)



3/18追記

[高江ヘリパッド訴訟]自体の異常さに気付いてほしい
(沖縄タイムス3/18)



3/28追記

[高江ヘリパッド訴訟]自体の異常さに気付いてほしい 
(沖縄タイムス3/28)



琉球朝日放送のニュース映像(動画)
2012.03.27 高江ヘリパッド裁判 通行妨害判決に住民控訴



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この記事へのコメント
なんとも残念な判決です。
約150名の集落の人々が、自分たちの暮らしや家族を守りたいと、ヘリパッド建設に非暴力で反対の行動をとっていることが、なぜ妨害行為になるのでしょう。裁判の意見陳述の当日に、高江の住民が裁判所に出向いている隙を狙って工事を強行しようとしたり、早朝寝こみを襲うように大勢で工事にやってきたりした沖縄防衛局の卑劣さ、それを指示した国の罪は誰が裁くのでしょうか。

高江の闘いのDVDをあちこちで上映しまくります。
Posted by 渡辺 直子 at 2012年03月15日 22:31
>渡辺直子さん
コメントありがとうございました。
ご存じのように高江の座り込み阻止はけっして過激なことはやっていません。暴言や罵声や大音響も、はっきりいって防衛局側に負けています。
この裁判結果を国側は最大限に活用して、今後辺野古や祝島などで座り込みしている人たちに向かってくることでしょう。もちろん高江にも。
弱い立場の側につく司法であってほしいと思います。
Posted by ミチさんミチさん at 2012年03月15日 23:00
 
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