2010年04月26日

「4・25」は県内移設を、県民自身が葬り去った日

「4・25」は県内移設を、県民自身が葬り去った日



[4・25県民大会] 県内移設は不可能だ
              
民意に沿い歴史的英断を

 自民党に共産党、親子連れに若者同士。沖縄戦を体験したお年寄りたちの姿も目立つ。党派や世代を超えて集まった人たち約9万人(主催者発表)。静かな熱気が会場を包む。

 開会後も会場を目指す車の列は途切れず、周辺道路は大渋滞となった。大会に参加できなかった人たちは黄色のリボンを腕に巻くなどして県内移設反対の意思を示した。

 読谷村運動広場で開かれた「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と、県内移設に反対し、国外・県外移設を求める県民大会」は、沖縄の世論が一つにまとまった節目の大会となった。

 県内の政治状況は昨年からことしにかけて劇的に変化した。民主党は昨年8月の衆院選で「最低でも県外」と公約し、県内全4選挙区で現行案を認めない候補者が当選した。

 名護市長選では同じく現行案に反対する稲嶺進氏が当選した。県議会も与野党が初めて足並みをそろえて県内移設に反対する意見書を可決し、全41市町村長が県内移設に反対している。

 県民大会に合わせるかのように、政府内で名護市辺野古沿岸部を埋め立てる現行案を、一部修正する案が検討されているとの信じられないニュースが飛び込んできた。「最低でも県外」の公約を裏切るばかりか、この国の民主主義の成熟度を疑わせる。

 稲嶺名護市長は辺野古回帰論について「県民を愚弄(ぐろう)するものでとても許せない。海にも陸上にも基地は造らせない」とあらためて誓った。

 うるま市勝連沖埋め立て案が浮上していることについて島袋俊夫市長は「巨大軍事都市化につながりかねず、到底容認できない」と拒否の姿勢を明確にした。

 もはや県内移設が不可能なのは決定的で、それを前提にしない限り解決策はあり得ない。

 11月には知事選がある。知事は公有水面埋め立ての許認可権を持つ。県内世論の9割が国外・県外を求める中で、県内移設容認の知事が誕生する可能性はほとんどない。

 2日前に出席を決めた仲井真弘多知事は県内移設反対を明言することはなかったものの、鳩山由紀夫首相に「公約に沿ってネバーギブアップでしっかりやってもらいたい」と注文を付けた。

 仲井真知事も引き返すことのできない地点まで来たというべきだ。

 そもそも地元合意なしに新基地を建設できると思うのは時代錯誤も甚だしい。移設候補地として名前が挙がった九州中北部の自治体からはすぐに反対の声が上がる。海兵隊は日本のどこからも受け入れられていないということになる。

 地元に歓迎されない場所に米軍を駐留させないという米国の原則からすると、海兵隊は撤退を真剣に考える時期にきている。

 米軍が普天間の代替施設を求めるのは既得権を手放さないからだ。

 しかし、代替施設を県内に求める従来の手法は明らかに限界にきている。海兵隊の国外移設と運用見直しを組み合わせた新しいアプローチが必要だ。

 現行案にこだわる米国にも政権交代を認識してもらいたい。米軍受け入れ国で政権交代後に撤退する確率は67%というデータもあるくらいだ。

 鳩山内閣は、首相と関係閣僚の間で意見の食い違いがあるようだ。

 鳩山首相は現行案回帰について「自然に対する冒涜(ぼうとく)」とまで言って否定したが、岡田克也外相、北沢俊美防衛相らは県内移設案に傾いているようだ。

 鳩山首相は、首相でありながら孤立状態に陥っているようにみえる。鳩山首相が県内移設派の閣僚や官僚に包囲され、県内移設に舞い戻る最悪の事態を憂慮する。

 私たちは「4・25」を県内移設が葬り去られた日と理解する。日米両政府ともその意味を見誤ってはならない。





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Posted by ミチさん at 19:01│Comments(0)反基地
 
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