2012年08月08日
沖縄に枯れ葉剤 米軍文書が裏付ける
米軍が、沖縄に枯れ葉剤520万リットルを貯蔵していたと認める報告書を公表していたことが7日、分かった。本土復帰の1972年、沖縄から太平洋の米領ジョンストン島にドラム缶2万5千本を運んだと明記している。米政府は一貫して沖縄での貯蔵を否定しており、事実を認める文書が見つかったのは初めて。
(沖縄タイムス8/8、記事原文はこちら)
(琉球新報8/8、記事原文はこちら)
琉球朝日放送のニュース映像(動画)
2012.08.07 米国陸軍関連の報告書 「沖縄に枯葉剤の存在」裏づける
2012.02.01 退役米軍人約130人 「沖縄に枯れ葉剤があった」
【関連する日記アーカイブ】
2012.06.02 「沖縄の枯れ葉剤」になぜ県は後ろ向きなのか?
2011.11.05 「枯れ葉剤」 と 沖縄
8/9追記
沖縄タイムス8/9社説 [枯れ葉剤沖縄貯蔵] 再調査し全容公表せよ
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[枯れ葉剤沖縄貯蔵] 再調査し全容公表せよ
復帰前の沖縄に枯れ葉剤が貯蔵されていたことを示す文書が、米陸軍化学物質庁のウェブサイトに掲載されていたことが分かった。
枯れ葉剤については、これまでも米退役軍人や基地従業員などが沖縄貯蔵の事実を証言していたが、貯蔵を裏付ける公式書類は見つかっていなかった。今回、明らかになった文書は、「枯れ葉剤の沖縄貯蔵に関する記録はない」と主張してきた米国防総省の従来の見解を覆すものだ。
枯れ葉剤には猛毒のダイオキシンが含まれている。一説によると、米軍は南ベトナムのジャングルやマングローブ林、田畑などに約7500万リットルの枯れ葉剤をまき散らしたといわれる。
焦土化作戦によってベトナムの山野は荒廃し、ダイオキシンの影響とみられる先天性異常や健康障害を訴える人たちが多発した。現在でも多くの人たちが後遺症に苦しんでいる。
この種の「不都合な事実」に対しては、これまで、米側独自の判断で秘密扱いにするか、日米合意の上で公表を差し控えることが少なくなかった。だが、隠蔽(いんぺい)は、住民の不安を募らせるだけである。
県民の不安を解消するため、政府はあらためて米政府に再調査を要求すべきである。「記録はなかった」という通り一遍の調査結果で済ますのではなく、再調査の上、詳細を公表すべきだ。
そもそも核、化学兵器が貯蔵されていた沖縄に、枯れ葉剤が貯蔵されていなかったと主張するのは、多くの点で無理がある。
問題の米軍文書は、枯れ葉剤問題を追い続けてきたジャーナリストのジョン・ミッチェル氏が、7日付の英字紙「ジャパン・タイムズ」で明らかにした。「ジョンストン環礁の環境アセスメント」(2003年発行)と題する文書で、米陸軍化学物質庁のウェブサイトに掲載されている。
報告書には「米空軍が1972年、沖縄に貯蔵されていたオレンジ除草剤の55ガロン(208リットル)ドラム缶2万5千本をジョンストン島に運んだ」と明記されており、貯蔵の事実を示す動かしがたい証拠資料といえる。
太平洋上にある米領ジョンストン島は、沖縄に貯蔵されていたマスタード、GB、VXなどの毒ガスを移送した場所である。枯れ葉剤には「オレンジ」「ホワイト」「ブルー」などの種類があるが、報告書にある「オレンジ」剤は、ベトナム戦争で頻繁に使われた。
61年2月から62年4月まで沖縄に駐留していた元米兵が、米軍北部訓練場などで枯れ葉剤の散布に従事したため、前立腺がんにかかったと主張し、米退役軍人省に補償を申し立てたことがある。枯れ葉剤の沖縄貯蔵について確認する文書は得られなかったものの、米退役軍人省は、元米兵の主張に矛盾はなく、「合理的で正当」と判断した。
元米兵の証言、退役軍人省の決定文書、ジョンストン島の環境アセスメントに関する報告書―。これらを総合的に分析すれば、「沖縄貯蔵」という事実は動かしがたい。
(沖縄タイムス8/9社説、記事原文はこちら)
琉球新報8/9社説 枯れ葉剤県内貯蔵 情報開示徹底し厳正調査を
枯れ葉剤県内貯蔵 情報開示徹底し厳正調査を
もはや言い逃れはできない。米陸軍化学物質庁が作成した報告書に、ドラム缶2万5千本分もの枯れ葉剤が県内で貯蔵されていたことが明記されていた。
米政府は日本政府に対し「(枯れ葉剤が)使用、貯蔵されていたことを示す資料、証言や記録はない」と回答し、沖縄での枯れ葉剤の存在を否定してきた。ならば今回の報告書は一体何なのか。これは釈明程度で済ませられる問題ではない。
米政府は、既に公表されているこの報告書を「ない」とした経緯を、日本側に明確に説明しなければならない。その上で、これまでに示された沖縄での枯れ葉剤に関する事実関係を認め、同問題の再調査と全ての情報の開示に誠心誠意取り組むべきだ。
日本政府も、この問題をうやむやにしてはいけない。外相、防衛相はもちろん、野田佳彦首相も米政府に厳重に抗議した上で、情報の全面開示と、関係自治体を含めた日米合同調査の実施を強く要求すべきだ。
枯れ葉剤には、自然分解されにくい猛毒のダイオキシンが含まれる。県民が最も懸念しているのが環境汚染の有無だ。調査が遅れれば事態はより深刻になろう。貯蔵場所を特定し、早急かつ厳正な土壌調査を行う必要がある。
米退役軍人省の公文書で、米軍北部訓練場などで枯れ葉剤を散布していたことが明らかになっている。また、普天間飛行場内の地中から、枯れ葉剤を含むとみられるドラム缶100本以上が掘り起こされたとする元米兵の証言もある。それを踏まえれば、当時の基地従業員たちにも何らかの影響を及ぼした可能性がある。関係者への聞き取りを含めた健康被害の調査も必要だろう。
昨年5月に在韓米軍基地内で枯れ葉剤の廃棄が問題化した韓国では、すぐに米韓による合同調査団が設けられ真相究明が図られた。沖縄でいまだにそれが実現できないのは、間違いなく消極的な日本政府の姿勢に原因がある。こうした主権を放棄したかのような日本政府の米追従の姿勢こそ、真っ先に改めるべきだろう。
枯れ葉剤問題の真相はまだ闇の中だが、事は県民の命に関わる問題であり、このままあやふやな形で終わらせてはならない。日米両政府はそれを肝に銘じて、真相究明に全力を尽くすべきだ。
(琉球新報8/9社説、記事原文はこちら)
8/13追記
8月10日はベトナムの「枯れ葉剤被害者の日」 知らなかった
米国が初めてベトナムで 枯れ葉剤の除染を開始
40年後にやっと認める なのに沖縄はいまだに否定

(琉球新報8/10)

(沖縄タイムス8/10)
8/17追記

(沖縄タイムス8/17)
2013/01/13追記

(琉球新報1/13)
3/10追記


(琉球新報3/10、記事原文はこちら)
Posted by ミチさん at 20:39│Comments(0)
│環境・自然