だれもが「出来レース」と言いながら止めるすべがない不思議な国ニッポン

ミチさん

2014年05月17日 20:32

【チェックしてほしい記事はこちら】


5/19追記

・≪社説≫ [[集団的自衛権] 国民不在の危険な陶酔 (沖縄タイムス5/18)

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首相、憲法解釈変更検討指示 集団的自衛権 (沖縄タイムス5/16)

集団的自衛権行使「安保法制懇」報告書全文(1) (沖縄タイムス5/16)

集団的自衛権行使「安保法制懇」報告書全文(2) (沖縄タイムス5/16)

集団的自衛権行使「安保法制懇」報告書全文(3) (沖縄タイムス5/16)

集団的自衛権行使「安保法制懇」報告書全文(4) (沖縄タイムス5/16)

集団的自衛権行使「安保法制懇」報告書全文(5) (沖縄タイムス5/16)

法制局、憲法解釈変更へ本格検討 集団的自衛権で姿勢転換 (沖縄タイムス5/17)

法制局長官に横畠氏昇格 憲法解釈変更に前向き (沖縄タイムス5/17)

集団的自衛権:沖縄県内政党の反応 (沖縄タイムス5/17)

集団的自衛権:沖縄県関係国会議員の反応 (沖縄タイムス5/17)

・≪社説≫ [安保法制懇報告書] 戦争する国になるのか (沖縄タイムス5/16)

[安保法制懇報告書] 戦争する国になるのか

 再び戦争をしないという深い反省に立ち、戦後、日本の国の根幹を形づくってきた平和憲法を破壊するものだ。憲法はこれまでさまざまな試練にさらされながらも海外で武力行使をしないというぎりぎりの一線を守ってきた。営々として築いてきた平和主義を捨て去るようなものだ。「戦争をしない国」から「戦争ができる国」への大転換となる。「平和国家日本」は、最大の岐路に立たされている。

 安倍晋三首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使)は15日、憲法解釈変更で集団的自衛権の行使容認を求める報告書を首相に提出した。

 報告書では、北朝鮮の核・ミサイル開発や、軍事費を増大させている中国が「力による一方的な現状変更の試みも看取される」と指摘。日本周辺の安全保障環境の変化は「従来の憲法解釈では十分に対応することができない」と主張し、「必要最小限度の自衛措置」の範囲内に集団的自衛権の行使も含めるよう解釈変更を求めている。

 安倍首相は記者会見で集団的自衛権を限定的に容認することに意欲を示した。

 集団的自衛権は、日本に対する攻撃がないのに他国を防衛するための「他衛権」である。日本が戦後、国是としてきた「専守防衛」から大きく踏み出すことになる。そもそも集団的自衛権は専守防衛ではなく、必要最小限度などと枠をはめるようなことはできないはずである。

 報告書では、集団的自衛権の行使としてシーレーン(海上交通路)の機雷除去など6事例を明示。行使には「日本の安全に重大な影響を及ぼす」「政府が総合的に勘案」など6条件を付したが、いかようにでも拡大解釈が可能で、歯止めとはならない。

 集団的自衛権を地理的に限定することも「不適切」とした。自衛隊の活動が「地球の裏側まで及ぶ」というのは決して誇張ではないのである。

 政府の憲法解釈はこれまで、国際法上「集団的自衛権を有している」としながら「自衛権の行使は、わが国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきもので、集団的自衛権はこの範囲を超える」として、憲法上許されないというものだった。

 提言書には国連決議に基づく多国籍軍に参加できることも憲法解釈の変更で可能とする内容も盛り込まれている。

 武装集団が離島に上陸することなど「グレーゾーン事態」に対する自衛隊の活動を可能にする法整備の必要性にも触れている。念頭には尖閣諸島の領有権問題をめぐる中国の動きがある。

 「本土防衛のための捨て石」にされ、県民の4人に1人が犠牲になった苛烈な沖縄戦が戦後の沖縄の原点である。日中間で軍事衝突が起これば、沖縄が戦場になるのは目に見えている。

 政府が日本を取り巻く安全保障環境の変化を指摘しているのはその通りだが、隣国でありながらいまだに首脳会談を実現することができないのは、中国側の自国中心主義の強権的な振る舞いはもちろん、首相の靖国神社参拝など日本側にも原因がある。

 政府がやるべきなのは、軍事に軍事で対抗する「安全保障のジレンマ」に突入する道ではなく、対話の糸口を見つけ、外交による和解の道を探ることでなければならない。

 報告書を提出した安保法制懇の性格にも触れないわけにはいかない。安保法制懇は安倍首相の私的な諮問機関にすぎない。設置に当たって法的な根拠があるわけではない。しかも、メンバーは集団的自衛権の行使容認を主張する人ばかりである。初めから結論ありき、なのである。

 安倍政権は報告書を基に、憲法解釈の変更を閣議決定するスケジュールを描いている。一内閣の意向でしかも閣議決定という手法で最高法規の憲法を骨抜きにするのは、憲法は権力を縛るという立憲主義を否定するものである。憲法の換骨奪胎であり、とても看過できるものではない。

 20日から協議を始める「平和の党」を掲げる公明党にとっても文字通り正念場だ。連立政権にとどまるのか、結党の精神を守るのか。党の存在意義が問われている。
(沖縄タイムス5/16社説、記事原文はこちら


・≪社説≫ 法制局長官交代 「法の番人」の権威取り戻せ (琉球新報5/17)

・≪社説≫ 集団的自衛権 憲法骨抜きにするな 「遠隔地の戦争」の危うさ (琉球新報5/16)

集団的自衛権 憲法骨抜きにするな
 「遠隔地の戦争」の危うさ

 他国の戦争に連なって戦争できる国に転換する。その歴史的節目を日本も越えたのかもしれない。

 安倍晋三首相は、集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈変更を目指すと明言した。安全保障面で関係があるなら、別の国への攻撃に対しても武力を用いることになる。戦後68年間、日本は1人の戦死者も出さずにきたが、他国の戦争で自衛隊員に死者が出る可能性が高まる。その覚悟が安倍首相にも国民にもあるとは思えない。

 民主的な最低限の手続きも踏まず、時の首相の一存で解釈改憲に突き進む。戦後の平和を支えた立憲主義、法治主義の基盤を掘り崩す、あまりに危険な姿勢だ。

立憲主義に背向け

 各種世論調査では解釈改憲反対が多数を占める。だが、首相の私的諮問機関にすぎない「安保法制懇談会」は、集団的自衛権の行使を禁じた従来の憲法解釈を誤りと断定し、行使容認を求める報告書を出した。容認派ばかりの14人のメンバーは首相が選んだ。

 安倍氏による安倍氏のための憲法解釈変更を導き出す結論ありきの報告書だ。これを受け、首相は「確固たる信念を持ち、検討する」と宣言し、胸を張った。

 報告書の最大の問題は「安全保障環境の変化」を声高に叫び、最高法規である憲法を骨抜きにしたことだ。完全に安保が憲法を凌駕(りょうが)している。不戦を誓い平和憲法を保ってきた国が、立憲主義に自ら背を向ける本末転倒の発想だ。

 自民党中心の歴代政権は「集団的自衛権を持っているが、行使できない」という解釈を固持してきた。憲法が権力の暴走を抑止する立憲主義をわきまえた内閣法制局の見解に従ってきたのだ。

 イラク戦争で米軍などの支援のために自衛隊を派遣した小泉純一郎元首相でさえ、行使できないという解釈を崩すことはなかった。

 安倍首相の会見は本質をぼかす印象操作そのものだった。紛争地で救出した邦人を乗せた同盟国の船が攻撃を受けたとし、武力を使って守ることが許されないのか-と問い掛けて見せた。よく考えてみたい。他国とは米国を念頭に置いていることは間違いない。世界最大の武力を有する国に対し、宣戦布告に等しい攻撃を仕掛ける国がどこにあるだろうか。

 集団的自衛権行使の例として示された6類型は従来の個別的自衛権での対処が可能なものが多い。現実的にあり得ない仮想現実を国民にすり込み、勇ましい言葉で集団的自衛権行使の必要性を説く手法は欺瞞(ぎまん)に満ちている。

攻撃対象になる沖縄

 会見で首相が用いたパネルの日本地図には、なぜか沖縄だけが抜け落ちていた。集団的自衛権の行使は米国の軍事行動との連携が念頭にある。もし行使されれば、本土から遠く、米軍基地と米兵が集中する遠隔地の沖縄が攻撃対象になる危険性が高まるだろう。

 1982年に起きたフォークランド紛争で、支持率低迷にあえいでいたサッチャー首相はアルゼンチンの侵攻に対抗して、遠く離れた領土を守る戦争に踏み切った。

 英本国には影響が乏しい「遠隔地の戦争」はナショナリズムを高揚して支持率を押し上げた。安倍氏が2004年にイギリスに送った腹心議員らの視察団は「フォークランド紛争を機に英国民が誇りを取り戻し、『自虐偏向教科書の是正』などの改革へ続いた」と評価する報告書を提出していた。

 「遠隔地での戦争」を通じてサッチャー長期政権に道を開いた史実を首相が認識していないはずがない。遠隔地はどこか。中国との領有権問題を抱える沖縄の「尖閣諸島」の名が第一に挙がるはずだ。

 「他人のけんかを買って出る」(評論家の内田樹氏)集団的自衛権行使は泥沼の戦争を招きかねない。世界では抑制的な流れが顕在化しているが、日本は逆に「戦争をしたがる国」との印象を持たれよう。基地の島・沖縄から歴史に根差す反対の声を上げ、解釈改憲の愚に歯止めをかけたい。
(琉球新報5/16社説、記事原文はこちら) 
  
    










             

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