県外メディアに不満(普天間爆音控訴審判決:タイムス編)

ミチさん

2010年07月30日 22:34

 
(沖縄タイムス7/30、記事全文はコチラ



 
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[普天間爆音控訴審] 一歩前進ではあるが…


 一歩前進と評価できる内容が盛り込まれる一方で、飛行差し止めは認められず司法の消極姿勢がまた際立った。

 福岡高裁那覇支部(河邊義典裁判長)で言い渡された普天間爆音訴訟の控訴審判決を一言でいうとそうなる。

 2008年6月の一審・那覇地裁沖縄支部判決と比較してみると、今回の判決で前進したのは次の点だ。

 普天間飛行場はいうまでもなく、ヘリコプターやプロペラ機が主体の海兵隊基地である。ヘリの回転翼から生じる特有の低周波音による被害が争点の一つだったが、判決は「航空機騒音に低周波音が含まれることで、精神的苦痛が増大させられている」と原告住民に共通する被害として初めて認定した。

 1人当たり損害賠償額も倍増された。国が抜本的な爆音対策を取らず違法状態を解消していないなどとしてW値(うるささ指数)75区域は日額200円、W値80区域は400円に引き上げた。原告住民全員が対象で、総額は約3億6900万円となる。

 控訴審で伊波洋一宜野湾市長が陳述した通り、判決は米本国では墜落の危険性を避けるため安全基準としてクリアゾーン(土地利用禁止区域)が飛行場内に設定されているが、普天間では同ゾーンが民間地にせり出し、その中に学校や病院などの施設が存在していると指摘する。

 そうした現状から判決では普天間を「『世界一危険な飛行場』と称されている」と初めて表現した。普天間は「欠陥飛行場」なのである。

 判決は受忍限度を超える爆音の違法性を強調する。沖国大への大型ヘリ墜落で、その恐怖は現実的となり精神的苦痛が増大しているともいう。

 住宅密集地に居座るそんな欠陥飛行場であれば、当然、飛行差し止めを命じると考えるのが常識だが、判決は請求を棄却する。

 米軍の活動を制約する条約や国内法令がなく日本政府は米軍の活動を規制できないとする「第三者行為論」に依拠しているが、どれだけ説得力があるか。目の前で米軍機が爆音をまき散らし、住民に被害が出ているのに日本政府は米軍に、何も言えないというのはおかしい。

 判決は、抜本的な爆音対策を講じない日本政府の責任も厳しく追及している。夜間・早朝の飛行を原則として制限する日米間の協定を米軍に順守させる措置を取らず、協定は形骸(けいがい)化している、と政治の不作為を批判する。

 飛行差し止めについて判決は、現行法制度上、司法的救済を求めることはできないと言い切る。司法は政府に丸投げし、政治は何もしない。被害を受ける住民は、一体どこに訴えればいいのか。
 河邊裁判長は昨年2月、新嘉手納爆音訴訟の控訴審判決も担当し、飛行差し止め請求を棄却している。今回も司法機関として、政府の行動に影響を及ぼす可能性のある差し止め命令を出すことはできないと住民の訴えを退けた。

 司法は人権のとりでである。住民が納得できるはずはなく、新嘉手納爆音訴訟と同じように上告する方針だ。 (沖縄タイムス7/30社説

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