2013年05月02日 14:03
伊江で落下傘訓練 オスプレイ配備中止せよ
沖縄の空は無法地帯なのか。米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイによるパラシュート(落下傘)降下訓練が伊江島補助飛行場で3日連続実施された。110人以上の兵士が降下している。1日には兵士1人が米軍提供区域外の民間地に着地し、2日は伊江島と普天間飛行場で午後10時以降の離着陸が確認された。
普天間飛行場は午後10時から翌朝午前6時まで原則飛行しないとの騒音防止協定があり、これに違反している。さらにオスプレイ運用の日米合意でも普天間協定と同時刻は全ての基地で「運用上必要と考えられるものに制限される」とある。米軍に「必要だった」と言われればそれまでだが、伊江島もこの取り決めをほごにされた。決まりも合意もあったものではない。
訓練に参加したオスプレイの一部は読谷村のトリイ通信施設に降り立ち、兵員を乗せて伊江島に向かっている。同機のトリイ飛来は初めてだ。米軍によるオスプレイ運用の環境審査書では、同施設内の着陸帯が「戦術訓練ではなく、輸送のための最小限の使用」に限定された管理着陸帯に区分されている。落下傘訓練に参加するオスプレイの同施設の使用は、米軍の規則違反の疑義がある。
伊江島でのパラシュート降下訓練は1996年の日米特別行動委員会で合意した。ただしオスプレイの環境審査書には伊江島での記載に降下訓練は入っていない。96年以降の降下訓練で26人の兵士が黙認耕作地か提供区域外に着地している。さらに450キロの物資と60キロの水タンクも金網の外に落下している。ずさんな訓練はどこであろうが許されない。
今回の訓練で民間地に落下した兵士の約20メートルの場所には農作業をする住民がいた。落下地点がもう少しずれていれば、住民の命に危険があったかもしれない。今後二度と訓練をすべきではない。
オスプレイの県内での訓練は大半が地元に通知されぬまま実施されている。今回も事前連絡はない。一方、小野寺五典防衛相は在日米軍副司令官に「本土で訓練を実施する際には情報提供をお願いしたい」と求めている。沖縄で米軍の野放図な対応を許し、本土には配慮する大臣の差別的な二重基準も看過できない。これ以上、被害のリスクを放置できない。すべてのオスプレイの配備と訓練を中止すべきだ。
(琉球新報5/4社説、記事原文はこちら)